質の高い求職者を集めるには必須となる「採用サイト」。しかし、せっかく作った採用サイトなのに、中々その効果が実感できないという企業は多いのではないでしょうか。
「採用サイトのアクセス数が一向に伸びない」
「採用サイトからの問い合わせやエントリーが少ない」
「求職者が採用サイトを見てくれていない」
となると、それでなくとも忙しい中、サイト更新のモチベーションも下がってしまいます。そんな時、まず必要なのは、採用サイトのSEO対策を見直すことです。
本記事では、採用サイトにSEOが必要な理由、メリット・デメリット、具体的な対策をわかりやすく解説します。自社採用サイトをもっと活用したい採用担当の方はぜひ参考にしてみてください。
採用サイトにおけるSEOの基本と重要性
まず、採用サイトとは「会社のコーポレートサイトとは別に作られた、求職者向けのWebサイト」です。求人情報発信の他、ブランディングのための採用広報コンテンツ掲載、エントリー機能などを備えています。
次に、SEO(Search Engine Optimizationの略)は、「検索エンジン最適化」と言う意味です。
SEO対策を行うことで、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索した際、検索結果内で上位表示を狙うことができます。
結論から言うと、自社の採用サイトは求職者に見てもらえないと意味がありませんよね。もし「自社名」+「求人情報」と言うキーワードで検索した、自社への興味や関心が高い人がいたとして、検索エンジン上での順位が低ければ閲覧可能性は下がります。これでは有力な候補者に応募してもらえる機会を失うことになりかねません。
採用サイトを運用するからには、SEOは必須のマナーと言っても過言ではないでしょう。
採用サイトにSEO対策を行うメリット・デメリット
- 採用サイト運営の効果を高められる
- 採用コスト/有料求人広告への依存度を下げられる
- ブランディング効果が期待できる
- 即効性がない/効果測定が難しい
- 手間がかかる
- WebとSEOの知識が必要
SEO対策はすぐにわかりやすい結果が出ませんが、早期に開始し積み重ねすることでデメリットを上回る様々なメリットが見込めます。
期間が限定されている求人広告とは異なり、採用サイトそのものは中長期運用が前提になりますので、日頃からSEOを意識した運用をするだけでいいのです。
自社の採用サイトが育てば会社の資産となり、サイトがある限り常時効果を発揮しつづける強い武器になります。
最初に、SEO対策を行うデメリットと、デメリットを捉え直すポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
SEO対策を行うデメリット
デメリット①即効性がない/効果測定が難しい
検索エンジンに評価されるためには対策を取ってからある程度時間がかかります。また、対策内容は常に結果を見ながらアップデート・改善する必要があります。競争率の高い分野においては、検索上位を狙うこと自体が難しい場合もあるので、SEO対策をしたからといって、すぐに「採用サイトからの応募者が増える」といった、わかりやすい結果を出すことは難しいことは理解しておきましょう。
<デメリットを捉え直すポイント!>
時間はかかるが、その分競合他社が一朝一夕に真似できないため、早期からの対策で差別化を図ることができる
デメリット②手間がかかる
SEO対策で行う具体的な施策として「サイト内にユーザーが必要としている情報を増やすこと」があります(詳しくは「採用担当者ができるSEO!「キーワード対策」3つのステップ」で詳述します)。質の高いコンテンツを増やして検索エンジンから評価され、それがサイトの評価にも反映されると言う好循環をつくることが重要です。そのため、コンテンツを用意・掲載する手間がかかります。
<デメリットを捉え直すポイント!>
コンテンツの充実は、採用サイトが本来の目的を果たす上で最も重要な施策。SEO対策だけでなく採用サイトの効果そのものを上げる目的で実施必須の内容なので、実質SEO対策上のデメリットとは言えない
デメリット③WebとSEOの知識が必要
SEO対策を効果的に行うためには検索エンジンの仕組みやSEOについてある程度の知識が必要です。また、採用サイト自体の構造なども影響するため、サイト構築についての知識も必要です。
<デメリットを捉え直すポイント!>
・SEO対策を強みにしているWebサービスの会社に外注することもできる
・採用サイト制作サービスの中には、SEO対策が強みのものも。リニューアルの際に最初からそのような採用サイトプラットフォームを選ぶことで解決ができる
SEO対策を行うメリット:デメリットを上回る効果は期待できる
メリット①採用サイト運営の効果を高められる
デメリットのところで紹介しましたが、採用サイトは求職者が求めている情報を正しく捉え、質の高いコンテンツを掲載することで本来の効果(自社に合った応募者の志望度を上げる)を発揮します。SEO対策の一環としてこのアクションを行うことで、自社採用サイトの効果を高めることができます。
メリット②採用コスト/有料求人広告への依存度を下げられる
採用サイトにSEO対策を施し、検索エンジン上の順位を上げることで、これまで出会えなかった潜在候補者へリーチすることができます。また、検索で上位に表示されれば、採用サイトからの直接応募を獲得できる可能性もあり、将来的に有料求人媒体・広告への依存度を下げることができます。
メリット③ブランディング効果が期待できる
求職者が情報を探す際「企業名+求人」で検索するのは、余程の有名企業か、最初からその企業のファンかどちらかのケースです。通常は企業名での検索は望めないため、自社のサービスや特徴、強みなどを絡めたキーワードでSEO対策を行うことになります。そうすることで、まだ自社のことを知らない人がサイトを訪れ、求職者向けのコンテンツを読んでもらえれば、企業の認知度アップとブランディングにつながります。
採用担当者ができるSEO!「キーワード対策」3つのステップ
- ペルソナを定義する
- 求職者が検索しそうなキーワードを選定する
- 選定したキーワードでコンテンツを作る
特別な知識がなくとも、採用担当者が自分でできるSEO対策を簡単3ステップでご紹介します。
コンテンツ作成時に必要キーワードを盛り込むだけなので、今日から始められる、しかも一番重要な施策になります。
1. 求職者のペルソナを定義する
採用サイトを制作・リニューアルする際にも行うことですが、まずは自社の採用サイトを見てもらいたいペルソナ(架空の人物像)を具体的に定義します。そうすることで自社の求める人材の層や傾向を明確にできるため、そのペルソナが求める情報を想像することで満足度の高いコンテンツ作成につながります。
<ペルソナ例>
・20〜30代 期間工などの契約社員/製造系/正社員の安定した仕事を探したい
・17〜21歳 就職活動中の学生/フードビジネスに関心がある/地元で働きたい
すでに採用サイトがある場合、採用サイト制作時に想定したペルソナを再確認してもいいかもしれません。
2.求職者が検索しそうなキーワードを選定する
ペルソナが決まったら、その人が検索しそうなキーワードを考えて選びます。
採用サイトを外注している場合は、キーワード選定から外注先のプロに相談してみるのもいいでしょう。
2-1.検索されそうなキーワードをリストアップ
ペルソナがどんな関心を持っていて、どんなキーワードを検索エンジンに入力するか考えます。
ペルソナ:
20〜30代 期間工などの契約社員/製造系/正社員の安定した仕事を探したい
ペルソナが検索しそうなキーワード:
正社員、募集、製造、土日休み、評価制度、社宅、家族手当、賞与、働きやすい など
キーワードはなるべくたくさん、ランダムに出せた方が良いので、ブレスト(ブレインストーミング)形式で行ったり、Googleの「サジェスト」機能を利用することもできます。
ブラウザでGoogleサジェストを「有効」にしていると、Googleの検索窓にキーワードを入力した時、そのワードとよく一緒に検索されるキーワードを提案してくれます。これをキーワード想起のヒントにすることも可能です(Googleサジェストの説明と設定方法はこちらから)。
2-2.キーワードが実際にどれくらい検索されているか調査
キーワードの候補が出てきたら、キーワードを実際に検索して実態を確かめたり、検索数を確認します。
SEOのキーワード対策はキーワード選びが大切になりますので、少し手間がかかりますが重要な工程です。
キーワードリサーチツールを使うと、実際に検索されたキーワードの関連キーワードが取得できます。
「ラッコキーワード」は無料プランでも様々な機能を使用できます。
実際「製造+募集」を検索してみると下記のようになります。
図 ラッコキーワード1
この結果から、求職者だったら使いそうなワードもピックアップしておきます。「製造+募集」+「勤務地」の組合せや「製造+募集」+「正社員」などのワードに需要がありそうなことがわかりますね。
また、Googleが提供している「 キーワードプランナー」を使うと、リストした各キーワードがGoogleで『月間でどれくらい検索をされているか』を調べることができます。Googleのアカウントがあれば無料で使用できます。
検索ボリュームが大きいほど、たくさんの人が検索している=ニーズがあると判断できるため、対策するキーワードを絞り込む際の参考になります。
下記の結果から「正社員」などの月間検索ボリュームは大きく、その代わり競合性は高い。「社宅」の場合は、検索ボリュームは大きいが、競合性は低い、という結果が読み取れます。
2-3.キーワードを選定
キーワードと関連ワードの候補を想定し、検索数を確認したら、最後に対策したいキーワードを絞り込みます。
一般的に、キーワード選定に正解はないと言われています。しかし、検索ボリュームが大きく、競合性が高いワードばかりを狙うと効果が見えにくい傾向です。
それなりの検索ボリュームがあって、自社のペルソナが検索しそうなワードを選びましょう。
3.選定したキーワードでコンテンツを作る
キーワードを絞り込んだら、いよいよそのキーワードを含むコンテンツを作成しましょう。
採用サイトでSEO対策を行う場合、成果を出すために欠かせないことがコンテンツの充実です。
採用サイトでは一般的に以下のようなコンテンツを設けることが多いですよね。
①募集要項・職種詳細
②福利厚生・ワークライフバランス
③選考ステップ
④会社紹介(事業内容・環境・雰囲気)・社員紹介
⑤よくある質問
⑥エントリーフォーム
採用担当者が自分でたくさんのコンテンツを作成しやすいのは「④会社紹介(事業内容・環境・雰囲気)・社員紹介」や「⑤よくある質問」のカテゴリではないでしょうか。まず初めに、これらのカテゴリで選定キーワードを使ったコンテンツをどんどん増やしていくことが考えられます。
SEOで検索エンジンから評価されるのは「ユーザーが知りたい情報」が含まれるコンテンツです。また、採用サイトとして効果が高いのも「求職者の疑問が解決する」「求職者の不安が解消される」コンテンツが載っているサイトです。
採用サイトでは、つい、自社が伝えたいこと・アピールしたいことを優先的に掲載しがちです。しかし、SEO的にも、採用サイトの戦略的にも、「求職者目線」で「求職者が求めている情報を分析して掲載する」ことが成功への近道となります。
Web担当者や外注先と協力するSEO対策!サイトの内部改善
- コンテンツに正しくタグ付けする
- モバイルフレンドリーに対応する
- 表示スピードを早くする
- ユーザビリティの向上
内部改善とは、Webサイトの内部をSEOに強い構造に適正化する対策です。
採用サイトに質の高いコンテンツがあったとしても、検索エンジンに評価されるためには、クローラーというロボットに対応したサイトの構造でないといけません。
自分で対応が難しい場合は、Web担当者や外注先に相談してみましょう。
コンテンツに正しくタグ付けする
検索エンジンはWebページに記述された「タグ」によって「何に関しての記事か?」「何がどんな順番で書かれているか」を読み取ります。
SEO対策を行う上で重要なのは、それぞれの「タグ」が適切に設定されていることです。
<記事タイトル<title>タグ>
・検索エンジンに対して、どのような内容のページなのかを伝える役割
・検索結果に表示される
・検索キーワードと検索結果について、Googleが最も重視するタグ
<見出し<h>タグ>
・検索エンジンに対して、ページ内容と対策キーワードの関連性を伝える役割
・ユーザーに対して、コンテンツの階層化・わかりやすい構造にする役割
・Webページ内に表示される
・h1〜h6まであり、入子構造にして使用順序を守る必要あり
タグを適切に使用してWebページを書くことで、検索エンジンに正しく読み取られやすくなり、ユーザーにも理解されやすいページになるという効果があります。
モバイルフレンドリーに対応する
モバイルフレンドリーとは、Googleによって実装されているアルゴリズムで、スマートフォンでの閲覧に適していないページの順位を引き下げる仕組みです。2021年のLINEによる調査では、インターネットをスマホのみで閲覧するユーザーが過半数を超えたという調査結果があります。モバイル端末への対応はSEO的にも、採用サイト的にも必要不可欠必須です。
Googleが無料で公開しているモバイルフレンドリーテストツールを用いて自分で確認することもできます。
表示スピードを早くする
ページの表示速度もSEO対策では重要になります。
サイトにアクセスした際、ページが全て表示されるまでの時間が長いとユーザーはストレスを感じ、離脱してしまう可能性があります。
ページスピードは画像ファイルの圧縮などで改善できる可能性があるため、しっかり対策しましょう。
ユーザビリティの向上
ユーザビリティとは、サイトを訪問したユーザーの使いやすさに対する満足度を指します。ユーザビリティが高いと、検索エンジンが「有意義なサイト」と認識し、検索結果でも優先的に表示される可能性があります。また、ユーザーのサイトの滞在時間が延びたり、再訪も期待できます。
下記3つの施策が有効です。
サイト内の導線を改善する
採用サイト内の導線の改善は、サイトを訪問した求職者の目線に立って、求職者がサイト内で欲しい情報を得るための順序を考えて行います。
採用サイトでは求人情報・募集要項が最も大切なページと言われています。
まずは求人情報へのリンクを見やすく、どこからでも辿り着けるようにします。その上で、他に必要となるコンテンツをわかりやすく配置・導線を組み直すなどの工夫をしましょう。
パンくずリストの設置
パンくずリストとは「今見ているページは、サイト全体のどこにあたるのか」を示すナビゲーションのことです。
このパンくずリストを設置することで、ユーザーが自分の位置を簡単に理解できるため、欲しい情報へアクセスしやすくなります。
内部リンクを設置し、サイト内の回遊性を高める
サイト内で関連コンテンツや上層・下層ページへの内部リンクを増やすことで、ユーザーが効率的にサイト内を回遊することができます。上層から下層へリンクで行ったり来たりできたり、関連性のあるサイト内の他のページに簡単に移動できるよう内部リンクを最適化しておきましょう。
採用サイトSEO対策の注意点
ここでは、採用サイトをSEO対策していくうえでの注意点を紹介していきます。SEO対策をしようとしている担当者必見です。
- 定期的に更新し、情報を古いままにしない
- サイト更新後の不具合に注意する
- コピーコンテンツを載せない
定期的に更新し、情報を古いままにしない
✓新鮮な独自のコンテンツを作成する
新しいコンテンツがあると、既存のユーザーに何度もアクセスしてもらえるだけでなく、新規ユーザーも取り込むことができます。
引用:検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド
Googleは「新規性」を重要視します。そのため、古い情報が載ったままのサイトはSEO評価が下がってしまう可能性が高いです。
また、採用情報が古いことはSEOだけでなく応募者の信頼を失うことにもつながります。
- 終了した求人募集はすぐに更新する
- 募集要項が変わった場合はすぐに変更する
- 更新日時を明示し、読者に「最新の情報であること」を示す
など、サイトの更新頻度を高め、情報を常に最新に保つことが重要です。
サイト更新後の不具合に注意
サイト更新後は不具合が起きていないか必ず確認しましょう。
採用サイトのSEO対策ではサイトの更新頻度が重要ですが、更新の際に不具合が起きてしまうことがあります。
- 誤字脱字がある
- 差し替えるべき画像・動画を間違えている
- 画像のサイズが違う
- ページの読み込みが遅くなった
などの不具合はSEOの評価を落とします。また、誤字脱字があるだけで、応募者の信頼を落としたり、読者の離脱の原因になってしまったり、悪影響が起こる可能性があります。
サイト更新後は不具合がないか複数名でチェックするよう心がけましょう。
コピーコンテンツを載せない
以下のことは避けましょう。
引用:検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド
- ユーザーに付加価値をほとんどもたらさない、既存のコンテンツの焼き直し(またはコピー)。
- サイト上にコンテンツの複製やほぼ同じバージョンを掲載する。
コピーコンテンツはSEO評価を大きく落とします。
Googleはサイトのオリジナリティを重視しています。他サイトのコピーコンテンツがあると、検索結果に表示されなくなってしまう可能性も。
そのため、コンテンツ作成の際には他サイトを参考にする程度にとどめ、コピーをするのは必ず避けましょう。
SEO以外の採用サイト集客方法も
- コーポレートサイト
- 求人サービス
- Web広告
- SNS(ソーシャルリクルーティング)
- オフラインで集客
SEO以外の採用サイトへの集客方法も試しましょう。せっかく制作した採用サイトも人が集まらないと意味がありません。
特に、SEO対策は非常に効果的とはいえ、成果が出るまでに時間がかかる場合があります。
求人サービスや広告、SNSなどの媒体も利用して、より多くの集客を採用サイトに集めましょう。
SEOを徹底的にやるならサイト乗り換え・リニューアルも
採用サイトのSEOについて見てきましたが、現在は様々な採用サイト制作サービスが登場しています。
大手求人サイトとの連携や求人広告運用などのオプションも選べますし、サイトを自分でこまめに更新するにはCMS型採用サイトの導入も得策です。
Webでの採用マーケティングを見据えて、サイトのリニューアルや、SEOがあらかじめ完備された採用サイト制作サービスの利用を検討するのもいいかもしれませんね。
まとめ:最小の労力で効果を狙う!採用サイトを武器に育てよう!
採用サイトを運用するなら、SEOはどうしても抑えておきたいポイントです。
すぐに目に見えた効果は出ないかもしれません。しかし中長期運用の中で少しずつ対策できるので、日頃から着実に積み重ねておけば、競合他社に差をつけることができます。
現在のサイトの改善にパワーがかかるようなら、そもそもSEOに強い既存のサービスに乗り換えることも検討しましょう。最小の労力で、採用サイトを強力な採用ツールに育てるのが得策です!