採用活動の中で、『採用したい人数を満たす応募が来ない』という課題を抱える経営者や人事担当者は少なくありません。採用を検討する際、単に求人情報を公開するだけでは、期待に反して応募者が集まりにくいことがよくあるのです。
そのため、採用において「母集団形成」を考えることが重要だと言われています。
そこで今回は、採用活動における「母集団形成」について詳しく解説していきます。
母集団形成に役立つ「採用マーケティング」とは?
採用マーケティングとは、マーケティングを採用活動に落とし込んだ手法のことです。
採用競争が激化している近年において、「優秀な人材を獲得できる」「コストが削減できる」として採用マーケティングが注目されています。
採用マーケティングを行うことで自社に必要な人材を明確にし、その人材に対する最適なアプローチ方法やコンテンツ制作ができ、母集団形成に役立ちます。
採用を成功させるための採用マーケティングについて詳しく知りたい方はこちらをチェックしてみてください!
採用活動の母集団形成って何?
では、母集団形成とは何なのでしょうか?
「母集団」の読み方は?
母集団形成は、「ぼしゅうだんけいせい」と読みます。
母集団形成とは
応募者数が多くても採用広報の成功とはいえない?
採用活動においては、応募の「多さ」を重要視している採用担当者が多いです。
しかし、より質の高い採用活動を行うためには、無作為の100名の応募者を集めるより、自社に興味があり働きたいと思ってくれている人を30名集めることが大切となります。
これが採用活動における母集団形成の考え方です。
採用活動で母集団形成を行うメリット
では、採用活動の中で母集団形成を意識することによって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
- 失敗を限りなく避けられる
- 計画的に予算を使うことができる
- 自社で活躍してくれる人材を獲得できる
母集団形成のメリット①失敗を限りなく避けられる
採用活動を行っているということは、現時点で社内に必要な人材がいないという状態の場合が多いでしょう。
母集団形成を意識せずに何となく採用活動を行ってしまうと、必要な人数を採用することができなかったり、自社で求めていた人材ではない応募者ばかりが集まってしまったりしてしまいます。
このような事態を避けるためにも、採用活動の際にはどんな人材がほしいのかを明確にして、計画的に行うことが重要です。
そのために必要なのが母集団形成です。
母集団形成のメリット②計画的に予算を使うことができる
採用活動を行う際には、限られた予算の中でより会社に貢献してくれる人材を探す必要があります。
やみくもに採用活動を行うと、「結果は出ていないのに予算だけ使ってしまった」という事態になりかねません。
今ある予算の中で効率的な活動を行うためには、事前準備が大切です。母集団形成を行うことによって、必要な予算の中で事前に決めたターゲットに対して必要な人数を集められます。
母集団形成のメリット③自社で活躍してくれる人材を獲得できる
母集団形成の目的は、募集の際から自社に合う人材を集めることです。もともと集まった人材が自社の社風や求めるスキルに合う人なので、その中からよりよい人材を選ぶことができます。
自社に合う人材を獲得することができれば、長期的に働いてくれる可能性も高まりますし、すぐに即戦力として活躍してくれることもあるでしょう。
新卒採用と中途採用での母集団形成のポイント
新卒採用と中途採用の母集団形成には採用のポイントに違いがあります。
新卒採用は教育機関等と連携し、長期的視点で育成していくことがキーとなる一方、中途採用は専門知識と経験を重視し、即戦力の獲得が目標となります。
それぞれのポイントについて詳しくみていきましょう。
新卒採用でのポイント
新卒採用は、組織にとって将来のリーダーや専門家を育成するために非常に重要なプロセスです。母集団を形成する際には、以下のポイントに注意することが大切です。
- 教育機関との連携
新卒採用プロセスの成功には、大学や専門学校との連携が不可欠です。教育機関との協力により、将来の有望な人材を見つけ出すためのパートナーシップを築くことができます。キャリアフェアやインターンシッププログラムなどを通じて、学生との接点を確立しましょう。 - 長期的なビジョン
新卒採用は将来の幹部やリーダー候補を発見する機会でもあります。母集団形成の際には、長期的な視点を持つことが大切です。候補者の成長とキャリアプランをサポートし、組織内でのスキルの習得とリーダーシップの発展を促進しましょう。 - ダイバーシティとインクルージョン
母集団を形成する際には、多様性とインクルージョンを考慮することが不可欠です。異なるバックグラウンドや視点を持つ候補者を受け入れ、多様性を尊重する企業文化を築くことで、組織全体の創造性と革新性を向上させることができます。
中途採用でのポイント
中途採用は、既にキャリアを積んだ個人を組織に迎え入れるプロセスです。母集団を形成するためには、以下のポイントに注力することが大切です。
- 専門知識と経験の重視
中途採用では、候補者の専門知識と経験が特に重要です。組織が求めるスキルセットに適した候補者を選択し、即戦力として期待される仕事に配置しましょう。そのためには、選考プロセスで詳細なスキルアセスメントが必要です。 - 文化適合性の評価
組織文化への適合性も考慮しなければなりません。候補者が組織の価値観やビジョンに共感し、適応できるかどうかを評価しましょう。文化の適合性は、チームの調和と成功に大きく影響します。 - オンボーディングプロセス
中途採用者を組織に迎え入れる際には、適切なオンボーディングプロセスを設計しましょう。これには、彼らの早期成功をサポートするトレーニングや導入プログラムが含まれます。円滑な適応を促進し、新しいメンバーが迅速に価値を提供できるようにしましょう。
母集団形成の成功は、新卒採用と中途採用の両方において、組織の長期的な成功に不可欠です。両方の採用プロセスにおいて、適切な戦略と注意を払い、組織の成長と発展に貢献する優れた人材を獲得しましょう。
採用における母集団形成の5ステップ
では、母集団形成は具体的にどのように進めていけばいいのでしょうか。
ここでは母集団形成の5ステップを紹介していきます。
- 採用目的を明確にする
- 採用人数とターゲットの設定
- 採用スケジュールの設定
- 採用手法の決定
- 採用活動実施、活動の分析・改善
Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/kidoryo/hr-hack.com/public_html/wp-content/themes/swell/classes/Utility/Get.php on line 461
母集団形成のステップ1.採用目的を明確にする
まずは「なぜ採用する必要があるのか」を明確にしましょう。採用目的を明確にすることは、母集団形成をする上での土台と言えます。
採用目的を明確にすることで、この後のターゲット設定や採用手法の設定の土台となるので、母集団形成を成功させるためにも採用目的を明確にしましょう。
母集団形成のステップ2.採用人数とターゲットの設定
採用目的を明確にすれば、自然と「何人採用したいのか」「どんな人材を採用したいのか」を設定していけるでしょう。
必要なスキルや経験はもちろん、人柄や雰囲気、性格なども細かく設定できると、母集団形成の質も上がっていきます。
母集団形成のステップ3.採用スケジュールの設定
採用ターゲットが決まったら、採用スケジュールを設定していきましょう。
採用目的から「いつまでに採用したいのか」のゴールを設定し、逆算してどのように内定・選考・面接・募集をしていくのか計画を立てると採用スケジュールが設定できます。
母集団形成のステップ4.採用手法の決定
ターゲットとスケジュールが決まったら、最適な採用手法を検討しましょう。
求人募集方法はさまざまで、求人サイトへの掲載や採用サイトの制作、人材募集会社への依頼、リファラル採用、ソーシャルリクルーティングなどがあります。
それぞれターゲットや効果、コストや手間などが異なりますので、自社に合った募集方法を検討することが大切です。
母集団形成のステップ5.採用活動実施、分析・改善
ここまで決まれば、実際に採用活動を行っていきます。
求人募集のための求人原稿の作成や応募者への連絡、面接、選考を行いましょう。
採用活動を行っていくうえで、活動の分析と改善を繰り返すことが大切です。
「どういった人材からの応募が多いか」「どの媒体の効果が高いか」などを分析し、質の良い母集団形成ができるように採用活動を改善していきましょう。
母集団形成を増やすには?必要なポイント・注意点
では、ここからは採用活動の中で母集団形成を行う際に考えるべきポイントについてご紹介していきます。
母集団形成を増やすポイント①ターゲットを明確にする
採用活動の際に最も重要なのは、どのような人材がきてほしいのかを明確にすることです。
求人を出すときにより多くの応募がほしいからと、誰にでも当てはまるようなあいまいな内容を書いてしまう採用担当者は多くいます。
しかし、あいまいな内容だと誰の心にも刺さらない可能性がありますし、キープとして応募してくる人も増えてしまいます。
「この会社で働きたい」と強く思ってもらうためには、より具体的にターゲットへアプローチし、そのターゲットに刺さる明確なメリットを提示することが重要です。
例えば、ターゲットでいうと「10〜60代まで活躍中」と書くよりも、「第二新卒も大歓迎」と書くことによって、より若い世代に見てもらいやすくなります。また、若い世代で多くの人材を集めたいと思っている場合には、「未経験者でもOK!手厚い研修があります」と書くと、あまり自分のスキルに自信がない若者でも応募しやすくなります。
まずはその求人の内容を見てもらって、ここで働きたいと思ってもらうことを考えましょう。
母集団形成を増やすポイント②サイトの見た目よりも内容を重視する
企業の中には、求人サイトにお金や時間をかけて魅力的なビジュアルのサイトを作っているところも多くあります。
もちろん見た目にこだわるのは悪いことではありませんが、中身が充実していないと自社に必要な人材は応募してくれません。
時代が変わるごとに応募したいと思っている人の価値観は変わるので、ターゲットを明確にしたらそのターゲット層に響くような内容に変更する必要があります。
すでに何年も前に設定した原稿のままになっている場合には、今のトレンドを調べて変更することをおすすめします。
母集団形成を増やすポイント③他の企業の募集と比較する
母集団形成を行う上で重要なのは、同業他社がどのような求人を出しているのかをチェックするということです。
同業他社の中には自社と同じようなターゲット層を設定している企業もあるでしょう。その場合、他の企業との差別化が図れなければ、応募者側の視点でいうと自社に応募するメリットが感じられなくなってしまいます。
そのため、常にターゲット層の応募者側の視点に立って、同業他社よりも「この会社で働きたい」と思えるかどうかを考えることが必要となります。
例えば、近くにある同業他社が給料が25万なのに対して、自社が23万であれば給料が高い方にいきたいと考える応募者が多いということは容易に想像できるでしょう。
その金額設定しかできないのであれば、福利厚生を充実させたりノー残業デーがあることをアピールするなど、それ以外の部分で魅力を感じてもらえる要素をしっかりと提示することで、他社より魅力的だと感じてもらえます。
効果的な求人募集の書き方についてはこちらの「求人募集の効果的な書き方|応募が殺到するポイントや注意点も解説」で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
母集団形成を増やすポイント④採用時期や応募方法の工夫する
採用活動を行う際には、ターゲット層の人材がどのような時期に求人に応募しやすいのか、どのような応募方法だとより行動に移しやすいのかを判断することが大切です。
例えば、新卒を採用したいという場合に2~3月に応募をかけてしまうと、他の企業に落ちた応募者しか集まらない可能性が高いので、同業他社が求人を出す時期にはすでに自社でも求人がある状態にしておく必要があります。
また、40代以上の方を集めたいと思った場合には郵送で書類を送ってもらう方が応募しやすいかもしれませんが、20代の場合はLINEやGoogleフォームで一度応募する方が行動しやすいという場合もあります。
そのように、他社と比較し工夫をして採用活動を行うことによって、自社がターゲットに設定した人材をより多く獲得することが可能となります。
採用における母集団形成の手法
母集団形成の手法はさまざまです。ここでは母集団形成の手法を紹介していきます。
- 求人サイト
- 自社採用サイト
- 人材紹介
- 企業説明会
- リファラル採用
- ソーシャルリクルーティング
母集団形成の手法①求人サイト
求人情報サイトとは、インターネット上のサイトに求人情報を掲載して、全国の求職者から応募を集める求人媒体のことを言います。
求人サイトにはさまざまな種類や特徴があり、「アルバイト・パート向け」「中途採用向け」「特定の職種専門のサイト」などがあります。
コストや料金形態などもサイトごとに違うため、自社に合った求人サイトを選ぶことが大切です。
母集団形成の手法②自社採用サイト
自社採用サイトとは、自社の企業情報や採用情報を発信するための自社サイトのことです。
サイト作成を外注するとサイト作成費用で100万円以上がかかる場合も多いですが、自社の魅力を制限なく発信できるため、求職者が自社について良く知ったうえで応募してくれます。
「応募の質を上げたい」「採用後のミスマッチを減らしたい」「企業理念に共感してくれた求職者を採用したい」という場合におすすめです。
母集団形成の手法③人材紹介(有料職業紹介)
人材紹介とは、職を探している求職者と、求人を募集している企業とをマッチングしてくれる事業のことです。
費用は「採用が決まった人の年収の30%」が相場で、採用コストは高めですが、採用が成功するまで費用が発生しないことがメリットです。
応募者の質も良い傾向にあるため「即戦力人材を採用したい」「自社で求人募集をする時間がない」という場合に人材紹介はおすすめです。
母集団形成の手法④企業説明会
企業説明会や合同説明会などのイベントに出展する方法もあります。
主に新卒採用などでよく行われますが、「転職フェア」など中途採用でも行う企業も少なくありません。
「多くの人材を獲得したい」という場合におすすめです。
母集団形成の手法⑤リファラル採用
リファラル採用とは、自社の社員の紹介経由で人材を募集する方法です。
「社員の協力が必要」「大量採用や計画的な採用には向かない」などのデメリットはありますが、一方で「社員の紹介のため信頼できる」「外部にコストを支払う必要がない」というメリットがあります。
「自社の風土にマッチした人材がほしい」「採用コストを抑えたい」という場合におすすめです。
母集団形成の手法⑥ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、SNSを用いた採用のことです。
SNSで自社のアカウントから発信することで「自社の理念や雰囲気にマッチした人材の応募」が見込めます。
デメリットとしては「フォロワーを集めるのに時間がかかる」「炎上の可能性がある」ということがあげられます。
「SNSを利用する若年層を採用したい」「コストをかけずに採用したい」という場合におすすめです。
まとめ:母集団形成で効率的に採用活動を進めよう!
ここまで母集団形成について紹介してきました。
母集団形成を行うことで、採用コストの削減や採用活動の効率化、望んでいる人材の採用が期待できます。
この記事の内容を参考に、ぜひ母集団形成をして効率的に採用を進めてくださいね。