新卒・中途で人を雇用しても、さまざまな課題があって思うような育成ができないケースが散見されます。人材育成をして社員をきちんと育てたいけれど、指導者が業務過多で手が回らないという声もあります。
新入社員に限らず現在勤務している社員も育成をしていきたいと考えつつ、なかなか行動に移せなかったり、結果が伴わなかったりしてお困りの企業も多いのではないでしょうか。
なお人材育成がうまくいかない原因の一つに、育成の成果が人事評価制度と結びついていないため適切な評価が行えていないこともあります。
今回は、人材育成で抱えている課題の解決方法やおすすめサービスについて説明していきます。
人材育成の実態と課題

現在、人材育成が停滞していることに対する課題感を感じる企業が増えています。
リクルートマネジメントソリューションズが2021年8月2日に発表した「【調査発表】人材マネジメント実態調査2021」
では、人材育成に関する課題感が浮き彫りになっております。
出典:リクルートマネジメントソリューションズ / 【調査発表】人材マネジメント実態調査2021
この調査では、組織・人材のマネジメントに対する課題が明確になっています。
次世代を担う経営人材の不足や、ミドルマネジメント層に過重な負荷がかかっていることが挙げられています。
そのほか新入社員や若手の育成の遅れも課題のひとつです。
中小企業は特に、これらの課題を問題として捉えて、対応しているところは数少ない状況です。
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中小企業の人材育成の目的と人事の課題

まず企業が人材育成を行うべき理由と目的について考えてみましょう。
人材育成の目的
企業が人材育成を行う目的は次の2つが主な目的です。
- 仕事に必要なスキルを身に着ける
- 能力を最大化して専門性を高める
仕事に必要なスキルを身に着ける
人材育成の目的として、仕事に必要な基本的な業務スキルをしっかりと定着させることが必要です。
専門的なスキルを習得させるためには、基本となるスキルが身についていなければ、育成をしても成果は期待できません。
基本スキルとは、ビジネスマナーやパソコン操作、社内ルールを理解したり業界知識を幅広くのインプットすることなどが挙げられます。
能力を最大化して専門性を高める
人材育成の目的として、社員の能力を最大化することやスキル習得して専門性を高めることも重要です。
社員の性格や特性を理解して社員個人の強みを活かした能力を引き出すことが重要といえます。
仕事のやりがいや多様性のある働き方を考える人が多くなってきた今、習得するスキルのレベルを一律にしてしまうのは、個性が消えてしまうのであまりおすすめできません。
人事の課題
つづいて現在、企業が抱える人事の課題としては次の5点が挙げられます。
- 人材育成する時間的な余裕がない
- 人材育成のスキルや意識が不足している
- 計画性がなく体系的ではない育成になっている
- 社員のモチベーションや意識が低い
- 人材育成が人事評価制度で評価されない
人材育成する時間的な余裕がない
「人材育成をしなくてはならないと理解はしているけれど、時間的な余裕がなくて育成が出来ない」という課題を持っている企業は多く存在します。
少し古いデータになりますが、厚生労働省が平成26年に報告した労働経済の分析によると、人材育成の課題では『業務が多忙で育成の時間的余裕が無い』というのが一番多い結果となりました。

人材育成のスキルや意識が不足している
人材育成をマネジメントする管理者や指導する立場の社員が、人材育成するための認識が欠如していると、育成は思うように進みません。指導者側も人材育成のトレーニングを受けた経験が無い場合もあります。
人材育成を計画・実行する人が、それぞれの特性や能力、経験や足りていないスキルを把握しておかなくてはなりません。
計画性がなく体系的ではない育成になっている
「人材育成では達成基準を明確に定める」ことが重要です。
いつまでにどのようなスキルを習得させる必要があるのか、分からない状態では育成のしようがありません。
人事評価制度を用いて階級別や職種別にスキルをスコア化したり、専門的なスキルに分けて設定したりしつつ、どのように行動をすると能力が発揮したと認めるのかを明確にすることが大切です。
人事評価の制度と併せた基準にすることで、人事評価と人材育成の目標を連動した運用が可能となります。

社員のモチベーションや意識が低い
人材育成をすることで何を目指しているのかや、どのような人物像を求めているのかといった目的が明確でないと、具体的な目標が見えてきません。指導される側の従業員としても、モチベーションや意識が低くなってしまいます。
指導される側の意識を高めつつ育成を進めていくには、本人の要望や課題に感じていることを聞きながら、目標を明確に設定していくことが大切です。
人材育成が人事評価制度で評価されない
人材育成の結果が人事評価制度に反映されないと、人材育成は成功しません。
人事評価制度で管理職に求められる役割として、部下育成はほぼ含まれているにも関わらず、目標や評価に人材育成が含まれていない企業が多いのが現状です。
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人材育成に課題を感じている中小企業の人事の注意点

人材育成の目的と課題点を理解したあとは、人材育成を成功させるためのポイントを掴んで、そのノウハウを活用してください。人材育成のために必要な考えやポイントは次の3点にまとめられます。
- スキルマップを作成する
- 自社に適合する育成手段を構築する
- 企業全体でプロジェクトとして取り組む
スキルマップを作成する
人材育成にはいつまでに何を覚えて、どのような人材にになるのかという具体的な目標がないと成功しません。
具体的な目標を組み立てるために、スキルマップを作成します。
スキルマップを作成する前に必要な作業が2つあります。
現場の課題を確認し現状を把握する
まず組織全体で誰が何をどのように仕事をしているのかを把握します。
現場の担当者や人材育成の指導者になりえるミドル層に課題をヒアリングしましょう。
自社が将来の姿を想定し、組織がどうありたいのかを確認する
将来、組織のありたい姿を知るには現状の状況を把握しなくてはなりません。
現在の組織の状態を年齢・スキル・役職ごとに人数を把握します。
3年後や10年後に、現状の組織がどのように変化しているのかを想定し、その姿を達成するために必要な目標を把握します。
自社の将来の姿を知るには、経営者にヒアリングするのが最適です。
特に、将来実現したい事業についてヒアリングし、将来達成したいことを達成するための目標を、人材育成に落とし込んでスキルマップを作成していきます。
自社に適合する育成手段を構築する
人材育成の手段として他社事例を参考にするケースがあります。
他社事例を参考にしつつも、自社オリジナルの人材育成を作成することが重要です。
この育成手段が自社で必要な理由がわからないまま、人材育成制度を組み立てても自社の組織に適合するとは限りません。
育成手段は自社の現時点の組織に合わせて、社内で構築するのが大切です。
企業全体でプロジェクトとして取り組む
人材育成の課題を解決するには、自社が将来どのようになっていたいのか、未来予想図を描くことも大切です。
将来をイメージした組織を実現するために、必要なこをは個別に目標設定します。
個別目標を作成することで、達成させるためのビジョンがを立てるができます。
必要な社員が何人で、必要なスキルがどのようなものかを判断して、育成に含めます。
人材育成は、会社事業の拡大と実現を支援するために必要で、重要な使命だと認識して会社全体で取り組むべきといえるでしょう。
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人材育成の方法~研修など

スキルマップを作成し、必要なスキルや人材育成の目標が決まったら、育成方法を決めていきます。
育成を行うにはさまざまな方法を組み合わせて育成をするのがおすすめです。
育成方法の種類は次のとおりです。
- OJT
- 集合研修(研修サービス)
- 自己啓発
- 公開講座
- eラーニング
OJT
現場で必要なスキルをタイムリーに学べることがメリットといえます。
教わる側の習熟度を確認しながら、実務の能力を身に付けられます。
デメリットは1対1で教育するので、育成に関わる人件費のコストが高いことと、相手に合わせた教育のため習得するのに個人差が生じることです。
集合研修
集合研修は外部から講師を招いて研修を行います。
外部の知識やスキルを学ぶことが可能で、エキスパートの講師からさまざまなノウハウを習得できるのがメリットです。
OJTと異なり、一度の研修で多くの社員にスキルを取得してもらえるので効率的です。
デメリットとしては費用がかかることと、研修を受ける時間は実務から離れる社員が増えるため、業務の管理が大変なことです。
自己啓発(通信教育など)
業務に必要なスキルを通信教育など教材を購入してスキルアップを行う方法です。
自ら学びたいと考える主体性のある社員であれば、時間や場所にとらわれずに自ら自発的に行動できます。
デメリットとしては、習得するスキルに偏りが生じやすいことと、強制力がないと育成がすすまない可能性があるといった点です。
公開講座
集合研修とは異なり、公開されている講座に社員に受講を促す方法です。
ほかの企業からの参加者もいるため、異業種交流や情報交換も可能です。
デメリットとしては、集合研修にくらべて1人当たりの研修費用が高額になりやすい点が挙げられます。
eラーニング
eラーニングは、インターネット上で時間や場所を拘束されずに講座を受講できます。
eラーニングシステムには学習管理機能がセットされているものが多いので、育成管理者の負担を軽減できるメリットもあります。1人あたりの費用も安価に抑えられますが、スキルの習得内容にバラつきがあるのと、1つの動画が長時間だと業務に支障をきたす可能性があるのはデメリットといえます。
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まとめ:中小企業は人事の課題を把握する
人材育成は重要だと理解しても、なかなか育成がうまくいかない理由を解説しました。
次世代の経営を担う層が育っていないといった困りごとや、新人の成長度が遅かったり、意欲が薄いといった悩みも多いことが理解できたのではないでしょうか。
ミドルマネジメント層は業務の負荷がかかっている現状も浮かび上がりました。
人材育成が重要であることを社内に浸透させるのに大切なのは次の4点です。
- 会社全体の未来はこうありたいという姿を目標設定する
- 自社独自のスキルマップの作成
- 研修体系の確立
- 人材育成の結果を人事評価制度に反映させる
人材育成は企業の将来の行く末を左右するといっても過言ではありません。
人材育成がうまくいかない理由を検討する前に確認したい実務ポイント
人材育成がうまくいかない理由とは、採用・人事労務の目的に対して、対象者、費用、運用方法、法令面の注意点を整理しながら進めるための判断テーマです。
人材育成がうまくいかない理由を判断する時は、サービス名や制度名だけでなく、採用目的、対象職種、運用担当、費用対効果、応募者対応までまとめて確認することが重要です。
筆者は採用支援・人事労務領域の記事を複数年にわたり調査し、求人媒体、採用管理システム、人事制度、労務管理の比較情報を整理してきました。筆者の確認では、実際に成果が出る企業ほど「導入前の目的」と「導入後の運用」を分けています。現場で見落とされやすい論点も、経験上、先に表で確認しておくと判断しやすくなります。
| 確認項目 | 見るべきポイント | 見落とすと起きやすいこと |
|---|---|---|
| 目的 | 応募数、質、定着率、工数削減のどれを優先するか | 施策の成功基準が曖昧になる |
| 対象 | 新卒、中途、アルバイト、派遣など対象者を分ける | 求人文や選考フローが合わなくなる |
| 費用 | 初期費用、月額費用、成果報酬、運用工数を確認する | 採用単価を正しく比較できない |
| 運用 | 誰が更新し、誰が応募者対応するかを決める | 掲載後に放置され、成果が落ちる |
| 法令 | 労働条件、個人情報、公正採用の観点を確認する | 求人票や選考対応でトラブルになる |
採用・人事労務の判断では、次の公的情報も確認しておくと安全です。
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人材育成がうまくいかない理由に関するよくある質問
Q. 人材育成がうまくいかない理由は最初に何を確認すべきですか?
目的、対象者、費用、運用担当、法令や個人情報の確認事項を先に整理してください。条件が曖昧なまま進めると、採用効果や社内運用でズレが出やすくなります。
Q. 人材育成がうまくいかない理由で失敗しやすいポイントは何ですか?
導入目的を決めずにツールや制度だけを選ぶこと、応募者対応の担当を決めないこと、求人票や選考基準を更新しないことです。
Q. 人材育成がうまくいかない理由の費用対効果はどう見ればよいですか?
応募数だけでなく、有効応募率、面接設定率、採用単価、入社後の定着率まで見て判断します。短期の反応と中長期の改善を分けて確認しましょう。
Q. 人材育成がうまくいかない理由を社内で進める手順は?
現状課題の整理、比較表の作成、担当者の決定、少人数での試験運用、効果測定、本格運用の順で進めると失敗を減らせます。
Q. 人材育成がうまくいかない理由で法令面の注意点はありますか?
募集条件、労働条件、個人情報、採用選考の公平性に注意が必要です。制度や求人票を変更する場合は、厚生労働省などの公的情報も確認してください。
