求職者の7割以上がチェックする「採用サイト(採用ウェブページ、リクルートサイトとも)」。
「自社採用サイトはあるが運用の仕方がわからない」、「採用サイトの運用は、手間ばかりで効果が実感できない」という悩みをお持ちの担当者も多いと思います。
採用サイトには、運用の前に確認すべき前提と、効果的な運用方法のコツがあります。
成果の出せる採用サイトにするために、ぜひ参考にしてみてください。
>>採用サイトの制作方法や効果を出すコツはこちらで解説しています。
採用サイトの「運用」の重要性
採用サイトを制作しただけでは効果は出ません。応募者を集めるために本当に重要なのは「運用」です。
- 更新頻度が低い採用サイトは「信頼されない」
- 情報が更新されていないと「応募を躊躇されてしまう」
- 求める人材に合わせてコンテンツを改善しないと「ミスマッチが起こる」
- SNSや求人サイトなどの導線を整備しないと「サイトに人が訪れない」
- サイトを分析し課題を見つけないと「いつまでも応募ボタンを押されない」
- 「採用サイトは短期間では結果は出ない」中長期的な運用が必要
これらの「運用」を進めていくことで、採用サイトで得られる効果を最大化できるのです。
実際に「採用サイトのメリットに関する調査」によると、採用サイトを活用しているメリットとして「入社後のミスマッチを防げている」と答えた企業が55.0%、「志望度の高い求職者を集められる」と答えた企業が50.0%と、採用サイトは多くの企業がメリットを感じています。
採用サイトをしっかりと運用すれば、効果を得るのは難しくないことがわかるのではないでしょうか。
採用サイト運用で押さえておきたい重要な【前提5つ】
- 目的が明確になっているか?
- 現在の採用ターゲット/採用ペルソナにあっているか?
- 自社でコンテンツを追加できるCMS型になっているか?
- 求人媒体・SNS連携ができる仕様か?
- 分析ツールが入っているか?
採用サイトの運用を見直す場合、既存の採用サイトについて確認したいことがあります。もしくはこれから採用サイトを新しく制作するなら、これらのポイントを抑えたサイト制作を行うのが運用で効果を出すコツです。
【前提1】採用サイトの目的が明確になっているか?
採用サイトがあっても、その目的を明確に言語化できているケースは意外と少ないのではないでしょうか。
採用サイトは、採用プロセスで使用する「ツール」の一つです。そのツールにどんなことを期待するのか、具体的な目標を定めましょう。現時点の採用課題を出発点として、採用サイトの目的を立てれば運用の振り返りもしやすくなります。
採用課題の例 | 採用サイトの目的設定例 |
---|---|
内定辞退率・入社後離職率が高い | ミスマッチやギャップを解消する |
応募して欲しい層からの応募がない | 応募者の質を上げる |
応募者の数が少ない | 応募検討層の応募意欲を上げる |
募集要項の閲覧数が少ない | 潜在的求職者層にアプローチする |
【前提2】採用サイトが現在の採用ターゲット/採用ペルソナにあっているか?
採用サイトは自社が採用したい求職者に見てもらう必要があります。
そのためには、採用ターゲット・採用ペルソナにあったコンセプト・デザイン・仕様であることが重要です。
- 採用サイトを作成した時に、どういう採用ターゲット・ペルソナを想定したのか?
- その採用ターゲット・ペルソナは今も変わっていないか?
- 採用サイトはその採用ターゲット・ペルソナに合ったコンセプト・デザイン・仕様になっているか?
正しい方向で採用サイトを運用するのに、少なくとも上記3点について確認しましょう。既存サイトの焦点が現在採用したい人物像と合っているかが重要です。
【前提3】採用サイトは自社でコンテンツを追加できるCMS型になっているか?
採用サイトの運用を自社で行う場合、もっとも重要になるのがコンテンツ投稿です。自社の採用サイトは担当者がコンテンツを更新しやすいCMS型になっているか、自社が使用しているサービスでのコンテンツの更新方法を確認しましょう。
更新すべきコンテンツについては後述しますが、「募集要項」「よくある質問」「社員紹介・インタビュー」などが更新できるかもチェックしましょう。
【前提4】採用サイトは求人媒体・SNS連携ができる仕様か?
採用サイトの運用を始めたばかりでは、採用サイト単体で母集団形成することはまず難しいのが実情です。よほど有名な企業でない限りは、Web検索で「社名+求人情報」とは検索してもらえません。
そこで、求人媒体やSNSなど、就職活動中の方もしくは広く一般にアプローチできるメディアで情報を公開し、母集団形成をはかります。
採用サイトは、そこで興味を持ってもらった方に、自社理解を深めてもらうための受け皿となるように設計しましょう。採用サイトが求人媒体やSNSとスムーズに連携できる仕様であれば、効果を出しやすいでしょう。
【前提5】採用サイトに分析ツールが入っているか?
採用サイトは中長期的に運用して初めて意味があります。効果の検証をするには、まず「アクセス数」「どこからアクセスされているか」「どのようなコンテンツに人気があるのか」「訪問者がサイト内でどのような行動をとっているか」などのデータを用いてサイトの現状を定期的に分析する必要があります。その上で、PDCAを回して、採用サイトを日々改善することが重要です。
サイト分析には「Googleアナリティクス」、「Googleサーチコンソール」などの分析ツールや「MAツール(マーケティングオートメーションツール)」などがあります。
自社の使用しているサービスを確認し、分析ツールの連携有無とその見方を確認しておきましょう。
採用サイト運用は方向性をぶらさないことが継続の鍵
以上5つの前提は、採用サイト運用の方向性をブラさないために必ず必要です。
求職者むけの企業の「顔」とも言える、採用サイト。運用はマストですが、実は効果が見えにくい業務でもあります。相手の反応もないし、効果も見えないとなると、続けるのも辛いもの。ついつい億劫になって更新が滞りがちになってしまいます。
効果を見るのに、まず大切なのが採用サイトの前提が間違っていないことです。
他の採用活動と同じ方向性を共有していること、自社の採用活動の方向性に合わせた運用がしやすいこと、運用の結果を分析できることは、効果検証のベースとなります。
また、1人で運用するとしても、チームで運用するとしても、正しい方向性に基づいた目標と達成ポイントを明確にすることで運用プランを立てやすく、続けやすくなります。
効果的な採用サイト運用のコツを4つ紹介!
- 情報は常に最新を保つ・計画的に更新する
- コンテンツの量と質を確保する
- 採用サイトに求人広報の導線を集める
- データ分析と改善をくり返す
採用サイト運用のコツ1:情報は常に最新を保つ・計画的に更新する
採用サイトに掲載の情報が最新となっているよう、計画的に見直し・更新しましょう。
サイトに掲載されている情報が古いと、求職者は「採用に積極的じゃないのかも」・「このサイトの情報は全部古いかも」という印象を持ってしまいます。
採用サイトを持っている以上は、更新スケジュールをたて、情報を最新に保つようにしましょう。また、What’s newや最新情報等に掲載された情報が半年前…という状況を防ぐため、そのコンテンツの必要性を検討するか、更新内容を計画的に作っておきましょう。
採用サイトが長くアクティブであることがわかると、求職者の安心感にもつながります。
採用サイト運用のコツ2:コンテンツの量と質を確保する
採用サイトの強みは、求職者にまとまった量の情報を提供できることです。また、サイトにアクセスする求職者はもっと自社のことを知りたいと思っています。あまりにコンテンツが少なすぎる、また他の媒体と同じ情報しか載っていないと、求職者の期待に答えることはできません。
以下2つのポイントをおさえたコンテンツで、求職者の不安・疑問を解消し、自社にマッチした候補者に応募してもらえる採用サイトに育てましょう。
- 求職者の不安・疑問に応えるコンテンツを作成する
- 採用サイトならではのコンテンツを意識して作成する
求職者の不安・疑問に応えるコンテンツを作成する
採用サイトでありがちなのは情報が「企業が発信したい・アピールしたい」内容に傾くことです。ですが、それでは求職者の不安を解消することはできません。
自社の採用したい求職者「採用ペルソナ」を具体的に想定して、もし自社に転職を考えている場合にどんなことが知りたいか考えてみましょう。
- 本当に未経験でも採用してもらえるのか?
- 年齢と経験による給与はどのくらい?
- 福利厚生やワークライフバランスはどんな感じ?
- どんなキャリアパスがあるのか?
- どんな人が活躍できる会社なのか?
求職者の疑問や不安に正直に答えるコンテンツを発信することで、求職者の自社理解が深まり、納得感を持った応募に繋げることができます。
採用サイトならではのコンテンツを意識して作成する
会社のオフィシャルホームページ(コーポレートサイト)では発信しづらい、社内の情報・働く社員にフォーカスした内容などを掲載できるのも採用サイトの魅力です。
求職者は会社のハード面(事業内容やサービス、資本金や取引先など)以外にも、ソフト面(職場の雰囲気、働きやすさなど)を知りたいと思っています。
採用サイトではできるだけ「自社のリアル(実態)」が伝わるソフト面に関する情報を、コンテンツ化しましょう。仕事の楽しさややりがいだけでなく、大変さや難しさなどのマイナス面も合わせて伝える内容にすると、ミスマッチを防ぐ効果もあります。
動画を活用したり、社員インタビューやブログやコラムなどのコンテンツがおすすめです。
採用サイト運用のコツ3:採用サイトに求人広報の導線を集める
採用サイトは、全ての求人チャネル(求人者との接点)と連携させて、自社に興味を持った人全員がリーチできるように導線を確保しましょう。
また、採用サイトからも運用している全てのメディアへリンク、更新情報をアップして、求職者がサイトと外部メディアを行き来できるように設計しましょう。
- 求人媒体と連動させる
- SNSと連動させる
- その他イベント案内と連携させる
求人媒体と連動させる
求人媒体を利用している場合は、求人媒体に書ききれない応募要項の詳細、応募職種の魅力、キャリアパスなどを採用サイトの募集要項に記載しましょう。採用サイトに誘導し、求人内容にさらに魅力を感じてもらう、また自社理解を深めてもらうきっかけとなります。
SNSと連動させる
SNSでの採用広報や企業PRを行っている場合は、採用サイトに詳細な情報や動画をアップして、SNSで更新案内する方法もあります。SNSから、自社の投稿に興味のある人を採用サイトに誘導することができます。
その他イベント案内と連携させる
説明会やインターンの募集などの就活イベントや展示会への参加など、各種イベントの案内でも積極的に採用サイトと連携させましょう。イベントに参加する社員の紹介や商品やサービスの制作秘話なども、採用サイトのコンテンツのネタにできますね!
採用サイト運用のコツ4:データ分析と改善をくり返す
残念ながら、採用サイト単体では、運用を開始してすぐに求職者から反応があったり、応募者が急増したりはしません。しかし、Webサイト運用ならではのメリットで、採用サイトを見た人に関するデータが数値で取れます。その数値を手がかりに、分析と改善を繰り返しながら、コンテンツを増やしていく・修正していくのが運用のキモです。
採用サイト運用の【前提5】で確認したサイト分析ツールを使い、下記のようなポイントで求職者の行動を確認しましょう。
- アクセス数(求職者をサイトに呼び込めているか)
- どんなコンテンツからの流入が多いか
- 伝えたい情報が載っているページにアクセスされているか
- 応募に繋がっているか
注意したいのは、採用サイトからの直接応募ばかりが採用サイトの目標にはならない点です。求人媒体から採用サイトへやってきたユーザーは、自分のエントリーシートが簡単に提出できる求人媒体に戻って応募をするでしょう。
採用サイトに与えた目的・役割に沿って分析データの目標を設定し、PDCAサイクルを回し、継続的な運用の推進力にしましょう。
サイクル | サイト運用のPDCA設定例 |
---|---|
Plan | 求人媒体から求職者を採用サイトに誘導し「◯◯」のコンテンツを見てもらう (アクセス数全体の◯%に見てもらう) |
Do | ・求人媒体から採用サイトに誘導する工夫を実施する ・採用サイトで「◯◯」のコンテンツを月に3回更新する |
Check | 上記実施後、1ヶ月後に分析ツールを使用して、サイト分析を行い効果測定を行う |
Action | 結果の振り返りと、改善できる点を次月のPDCA施策に落とし込む |
採用サイトはコツをおさえて焦らず中長期の運用を
採用サイトの運用は、前提とコツをおさえれば難しくありません。
ただし、中長期の運用スパンで目標と目的を設定し計画的に更新すること。また効果測定と改善を定期的に行うことが大切です。
採用サイトの方向性と目的がきちんと言語化・数値化され、共有されていれば、運用に関して社内の協力を仰ぐこともできます。コンテンツ作成や採用ペルソナのニーズを把握する際は一人よりも複数人でやったほうが精度もあがります。
担当者で抱え込まずに、ぜひ社内リソースを活用することをおすすめします。
まとめ:採用サイトの運用は社外サービスも合わせて検討
採用サイトを育てるのは時間も手間もかかりますが、上手に育てれば自社の資産になるという長期的なメリットがあります。
一方、採用担当者は、応募者対応、問い合わせ対応、説明会の準備、面接のスケジューリング…と日々の業務で忙しく、急務でない採用サイトの運用に手が回らないのも実情ではないでしょうか。また、インターネット活用のトレンドや、変化の激しい採用市場に合わせた戦略的な採用サイト運用が難しい面もあります。
自社採用サイトの需要の高まりに合わせ、今は採用サイトの制作・運用とWebでの求人集客を一気通貫でアウトソースできるサービスも出てきています。社内にノウハウがなく、担当者の時間を割けない場合は、採用サイトと集客部分はプロに頼るのも一つの選択です。