採用業務において、実際に候補者と会える採用時面談は、一つのハイライトですよね。
しかし、
「採用面談してみたら応募者の感じが予想と違った…」
「いくら教育しても、面談官が自分の好みで評価している気がする…」
「採用面談ではすごくいい感じだったのに、内定を出したら辞退された…」
など、悩みは尽きません。
この記事では、そんな採用担当者へ向けて、採用時面談のコツや効率化の方法を紹介します。時間がかかる割に面談に手応えを感じられない、採用面談を効率化しつつ精度を上げたいという採用担当者はぜひ参考にしてみてください。
>>採用業務効率化の方法はコチラで解説しています。
採用面談は効率化・精度アップできる
数ある採用業務の中でも、採用面談には時間・工数がかかります。
自社に合う人を採用面談で見極めたい!というのが本音ですが、面接の時間を1時間とったとしても実際は難しいもの。
そこで、特別なスキルや熟練した経験がなくとも、採用面談の精度をあげ、効率化する方法をご紹介します。
採用面談の目的を絞り込む
まず、自社の採用プロセスの中で、採用時面談が持つ目的をできる限り明確にしましょう。
目的が「会って見極める」という、抽象的な内容では後々の振り返りができないためです。
次のステップで、目的の絞り込みを行います。
- 採用プロセス全体で、候補者に求めること・確認する点を洗い出す
- 評価ポイント(=採用基準)として整理する
- どの評価ポイントを、どのプロセスで評価するか決定する
3. では「採用面談」プロセスに「採用面談だけでしか評価できないポイント」を中心にアサインしましょう。面接の場以外で評価・確認できることは、できるだけ他のプロセスで行うのがコツです。
採用面談以外で確認できるものはツールを使う
採用プロセスごとに、確認する評価ポイント(採用基準)をアサインしたら、業務効率化・面接精度アップの視点で見直します。
下記のようなツールの導入で、採用時面談で行う内容を減らすことができます。
導入ツール | ツールの効果 |
---|---|
オンライン適性検査 | 処理能力・行動特性・価値観・ストレス耐性等の評価が時間にとらわれずに実施できる |
採用面談前の動画選考 | 書類選考・面接選考で確認できる項目の多くを確認できる。AIによる客観的・数値評価機能にも期待できる。 |
応募者に自社理解を進めてもらうツール | 採用サイトを充実させる、SNSで社風を発信する、動画サイトで会社紹介を行う、採用ツールなどで応募者の疑問解消につながるコンテンツを作成する等で、質の高い・豊富な情報を発信できる |
また、ツールの導入で最も大きなメリットは「評価者や説明者のスキルによる評価結果への影響が少ない」点です。会社で決めた採用基準に照らして、候補者をより客観的に評価できます。
Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/kidoryo/hr-hack.com/public_html/wp-content/themes/swell/classes/Utility/Get.php on line 461
採用面接で行うべきは「主観的な評価」と「志望度の引き上げ」
採用面談の場合、評価に面接官の主観が入ります。
逆に言えば、面接官の主観で評価すべき点(例えば「一緒に働きたいかどうか」など)を見るのに適しています。
また、応募者がどの程度・どんな風に自社のことを理解しているか?という点も面談での確認ポイントです。採用面談まで進んだ魅力的な候補者であれば、ここで一気に自社のファンになって欲しいところ。
自社への理解が不十分と感じるようであれば、求職者側のニーズを確認して、それに対して自社がどんな価値を提供できるのか、相互理解が進む場にしましょう。
採用面談・内定までをテンポよく進めて離脱率を低減
各プロセスとそこで評価・確認する内容が明確になっていると、選考全てをテンポ良く・スピーディに行うことができます。
就職活動中の求職者にも好印象ですし、選考間フォローの頻度を減らすこともできるため、採用担当者の業務も効率化できます。
採用面談の効率化は事前準備が9割!
ここまで見てきたように、採用面談の効率化・精度アップは、採用プロセスの見直し・面接前の他の選考等にかかっています。
採用プロセスごとの達成目標がシンプルでクリアになっていると、効率化以外にも下記のようなメリットがあります。面接の結果に納得がいかない場合は、ぜひ一度自社のプロセスを見直す事をお勧めします。
- 採用活動全体のPDCAを回しやすい
- 選考に参加する社員が目標共有しやすい
- 評価ツールを設計・使用しやすい
- マニュアル化しやすい(=社内・社外のリソースを活用できる)
- 面接官のミッションがはっきりするため、教育しやすい
- 選考参加者全員の納得感が形成しやすい
効率化した面談でも内定者の質を保つ【3つのポイント】
- ポイント① 採用戦略に採用マーケティングを導入する
- ポイント② 採用ブランディングを行う
- ポイント③ 面接前に候補者の自社への志望度を上げる
ポイント① 採用戦略に採用マーケティングを導入する
業務効率化で実務時間が少し空いたら、ぜひ採用戦略にマーケティングの手法を取り入れましょう。候補者の質を高めつつ、更なる採用業務効率化・採用面談精度のアップが見込めるからです。
また、採用マーケティングは応募者数アップや速やかな母集団形成の論理的な基礎となります。
ちなみに、株式会社学情が2021年に行った調査によると、49.3%の企業が採用活動における課題は「母集団の質の向上」と答えています。採用マーケティングを取り入れて質の良い母集団形成をすることで、他の企業よりも効率的でスピーディに選考を進められるでしょう。
参考:株式会社学情『企業の採用担当者を対象に、「2022年卒の採用状況」「採用活動における課題」について調査しました。』
ポイント② 採用ブランディングを行う
採用マーケティングの全てを一気に取り入れるのは難しくても、その手法の一つでもある「採用ブランディング」を採用活動に取り入れてみましょう。
採用ブランディングは、自社をブランド化し、競合他社からの差別化をはかり、求職者と価値観を共有できるという効果があります。
最初からマッチ率の高い求職者からの応募が見込めれば、無駄な選考を行わなくて済み、その後の歩留まりも改善します。
採用ブランディングは、簡単に説明すると、次の4ステップです。
- ターゲティング(欲しい人材の明確化)
- ポジショニング(競合他社や採用市場の中での、自社の立ち位置の明確化)
- コンセプト(上記を踏まえ「誰に・どうやって・何をするための活動にするか」設計する)
- アクション(情報を発信する)
採用ブランディングの隠れたメリットは、上記ステップを通じて、企業側の自己理解が進むことです。求職者との相互理解を進めるには、その前に企業側が自社のことを客観的に理解しておく必要があります。
ポイント③ 面接前に候補者の自社への志望度を上げる
面接前の辞退を減らすには、応募者からの自社理解・志望度アップを「面接前」の段階で可能な限りあげておく施策をとりましょう。この手法も、採用マーケティングの一つで「エンゲージメント」と呼ばれます。面接の成否、ひいては採用プロセス全体の精度アップにつながってきます。
具体的には、下記のような対策が考えられます。
- 自社理解が促進される情報発信を適切なメディアで適切な頻度で行う(採用サイト、ソーシャルメディア、動画配信サービス、イベント等)
- 日頃から、自社からの情報発信だけでなく、求職者との相互コミュニケーションを行う
- 求人に関するできる限りの情報開示を含め、求職者のニーズに答えられるようなコンテンツを公開する
「他社ではなく、自社に応募する理由」を、求職者が理解できるような情報発信と事前の啓蒙がアクションのポイントです。
採用業務の全体の負担を軽くしたい!効率化のコツ
- オンライン化・自動化ツールの活用で効率アップ
- 採用サイトの活用で「採用ブランディング」を攻略
「採用プロセスの改善・採用マーケティングにも力を入れたいけれど、そもそも今の採用業務で手いっぱい」と言う担当者の方は、まずは少しでも時間に余裕を作りましょう。
オンライン化・自動化ツールの活用で効率アップ
採用のオンライン化が急激に進み、さまざまなWeb連携のサポートツールが登場しています。ぜひ自社のスタイルにあったツール・システムを検討してみてください。
採用サイトの活用で「採用ブランディング」を攻略
採用マーケティングの重要な施策の一つ「採用ブランディング」に効果を発揮するのが「自社採用サイト」。採用サイトは求職者の8割が参考にすると言われており、応募するかどうかの決め手になる他、質の高い母集団形成にも力を発揮します。
採用サイトの制作サービスには次のようなものがあり、自社のニーズ・予算に合わせて選べます。
- 自社採用サイトを0円〜低価格で制作してくれるもの
- 自社でコンテンツを更新しやすいCMS型のプラットフォームを持つもの
- インターネットを使った求人代行の機能を持つもの
- 選考管理・応募者管理機能がついているもの
導入にあたっての担当者の負荷が少ないものを選んで、まずは運用してみるのも一つの手ですね。
採用面談の方法・流れ
ここでは、「採用面談ってどう進めればいいの?」と悩んでいる方に向けて、代表的な採用面談の流れを紹介していきます。
まずは緊張をほぐすために、天気や交通手段などの雑談で「アイスブレイク」しましょう。緊張をほぐすことで、より本音で面談を進められます。
続いて、面接官の自己紹介や会社の説明を行います。心理学でも「自己開示は相手の警戒心を和らげる」ことがわかっているため、面談を円滑に進めるためにも自己紹介や会社説明は重要です。
また、会社説明はミスマッチ防止の役割も果たします。応募者の志望度を引き上げるためにも、「良い面・悪い面」「サイトに載っていない情報」などの理解を深めてもらいましょう。
応募者の経歴やスキルを確認し、質問していきます。ここで、応募者の価値観や意欲を知り、自社に合っているか判断していくことになります。
応募者から質問する時間も設けましょう。応募者の疑問や不安を払しょくしてミスマッチを防ぐことが主な目的です。
また、質問内容から「入社意欲」や「応募者が会社に求めていること(価値観)」もわかるので、判断材料になるでしょう。
最後に、事務連絡をして終わります。合否の連絡方法や連絡する日の目安、今後の選考・採用の流れなどを伝え、応募者が迷わないようにしましょう。
採用面談で聞くべき質問事項
- アイスブレイクで使える質問
- 経歴・スキルを確認する質問
- 志望理由・入社意欲に関する質問
- 性格や価値観に関する質問
採用面談での質問事項は、「応募者のどんな部分を知りたいか?」によって異なります。ここでは、目的別に質問事項を紹介していきます。
もちろん、求める人材像や応募者によって質問したい内容は異なるので、臨機応変に質問していくことが大切です。
アイスブレイクで使える質問
- 暑い(寒い)ですね。体調崩してませんか?
- 今日はここまで何分ぐらいかかりましたか?
- 当社のことはご存じでしたか?
- 求人はどのように知りましたか?
- 緊張されていますか?
経歴・スキルを確認する質問
- 自己紹介をお願いいたします。
- こちらの大学を選ばれた理由を教えてください。
- 前職ではどのような業務を担当されていましたか?
- ○○についての知識はどの程度もっていますか?
- ○○の経験は何年ほどお持ちですか?
- 退職を考えるようになったきっかけは何ですか?
- もし○○の状況になったとき、どのように対応しますか?
志望理由・入社意欲に関する質問
- なぜ転職を考えていらっしゃるのですか?
- なぜ当社を志望したのですか?
- 会社選びで何を重視していますか?
- もし当社で働くことになったら、どのような目的を達成したいですか?
- 当社のどのような点に魅力を感じましたか?
性格や価値観に関する質問
- ご自身の強みは何ですか?その強みを、当社でどう活かせると思いますか?
- 友人はあなたのことを、どんな性格だと思っていますか?
- これまでの人生において挫折したことはなんですか?その時、どのように対処しましたか?
- これまで人間関係で困った事があれば教えてください。またそれをどのように解決しましたか?
- 過去の経験の中で、目標に向かって努力してきたことはありますか?その目標を達成するためにどのような努力をしてきましたか?
- あなたの苦手なことは何ですか?
- 前職でストレスに感じていたことはありますか?また、どのように発散していましたか?
- どんな仕事に挑戦したいですか?
- 3年後はどのようなキャリアを描いていますか?
- 将来の夢や目標を教えてください。
まとめ:採用面談は事前準備で成功率を高めよう!
採用担当としての経験から、個人的には「面接だけで人を見抜く」ことはできないと思っています。お互いに時間と空間(インターネット上であっても)を共有し・会話をすることで、できることは相互理解を深めることですよね。
採用面接を一方的に人を評価する場ではなく、お互いをよく知り、合意形成をする場と捉えると、その前の準備や情報提供がいかに大切かがわかると思います。
面接の効率化・成功率を高めるのであれば、事前プロセスの改善がおすすめです。