ECサイトの隆盛から物流業界の必要性は高まる一方、業界では人材不足が大きな課題になっています。多くの企業で人材の確保が課題になり、求職者は業界の現状と仕事内容についても理解しておく必要があります。
本記事では、物流業界への就職を検討する方に向け、物流業界の職種と仕事内容、今後の業界展望について解説します。
物流・運輸業界の特徴について
物流・運輸業界は、一言でいうとモノの流れを管理する業界です。
生産者から消費者へ商品を届ける際には、トラックや車、船などを使って商品を運ぶ必要があります。また石油などの資源の取引が企業間で行われる際も物流・運輸企業が間に入っており、BtoB、BtoC双方において必要な業界です。
また物を運ぶだけでなく、
・モノを輸送する
・送り主の荷物を保管する
・荷物の積み込みや倉庫への入庫を行う荷役
・荷物を梱包する包装
・ラベルや値札を貼って加工を行う流通加工
・輸送中の荷物を管理する情報管理
などの工程を経て送り主から受け手へ荷物が届きます。
従来ではこれらの工程を各専門企業に依頼することが多かったですが、最近ではこの工程を一括で発注する「3PL(3rd Party Logistics)」というビジネスモデルが主流になってきています。
海運業界の大手企業である日本郵船、国内外に向けて自動車や鉄道の輸送などインフラの輸送を行う日本通運など、売り上げ、商圏ともに大規模な会社が多く存在します。
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物流・運輸業界の職種、仕事内容、求められるスキルとは?
モノの流れを管理する物流・運輸業界ですが、どのような仕事が行われているかご存じでしょうか。下記では業界に関連する職種を営業系/管理系/SDの3つに分けて解説します。
営業系
物流・運輸業界の営業先は、基本的に法人になります。顧客に対し現在の物流における課題や解決したい点などをヒアリングし、自社の物流サービスを提案する仕事になります。
顧客が重視する点は様々あり、配送スピードが速い、コストが低い、丁寧に梱包されているなどがあるため、いかに他社のサービスと違うかをアピールできるかがポイントです。
大手であれば海外向けの営業を行うことがあるため、コミュニケーション能力だけでなく語学力や物流に関する知識が求められます。
管理系
管理系では、物流の工程における保管や出荷、荷役といったモノの流れを管理する職種です。扱う商品は企業によって異なり、運搬だけでなく包装や流通加工を行うこともあります。
加えて輸送ルートの最適化や倉庫の空き管理、配送が滞らないようなスケジュール管理と業務は幅広く、かつ限られた時間で適切に業務を遂行する力が求められます。調整力/マルチタスクスキル/物流、貿易に関する高度な知識が求められる職種です。
SD(セールスドライバー)
SD(セールスドライバー)は、適切に荷物が届くよう配達、集荷、運輸するドライバー全般を指します。会社によっては運輸業務だけでなく、料金の集金や新規顧客の開拓を行うこともあります。 最近では新型コロナウイルスの流行でECサイトを利用する人も多く、セールスドライバーの役割はより重視されています。
基本的にトラックや車で配達することが多いため、車両に応じた自動車免許が必要になります。しかし業界経験を必須とする会社は少なく、比較的就職・転職しやすい職種といえます。
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物流・運輸業界に就職/転職するには?業界に向いている人材の特徴
次に物流・運輸業界に向いている人材について
・体力がある
・コミュニケーション能力がある
・危機管理能力がある
という3つのタイプに分けて紹介します。物流・運輸業界への就職や転職を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
物流・運輸業界に向いている人材の特徴①:体力がある
1つ目の特徴は体力があることです。特に荷役やドライバー職に務める場合は、荷物の上げ下げや長時間の運転など体力が求められる現場が多いです。
また急な予定変更や顧客からのクレームなどもたびたび起こるため、精神的なタフさも求められます。
物流・運輸業界に向いている人材の特徴②:コミュニケーション能力がある
冒頭の業界の特徴でも解説したとおり、物流運輸業界は様々な工程を経て顧客に荷物が届けられます。そのため各部署との連携が必要不可欠です。
相手の立場を理解するコミュニケーション能力だけでなく、周りといかに連携するかという協調性も求められます。
物流・運輸業界に向いている人材の特徴③:危機管理能力を持っている
ドライバーや情報管理など、人がモノを扱う上で身体的危険やスケジュールの遅れというトラブルが考えられます。
ドライバーであれば事故や渋滞に巻き込まれない、起こさないために体調を管理する。情報管理であればスケジュール調整の中で懸念点になりそうな工程を洗い出すなど、いかに危機管理ができるかがポイントです。
物流業界の人材不足の原因とは?
現在物流業界では人材不足の問題がささやかれています。
これには主に
・若手人材の減少とドライバーの高齢化
・需要の増加
・労働環境
の3つが原因だといわれています。以下にて詳しく解説します。
物流業界の人材不足の原因①:ドライバーの高齢化
人材不足の原因の1つ目は、ドライバー高齢化です。少子高齢化はどの業界でも深刻な課題になっていますが、物流業界もそれは同じです。
現在、トラックドライバー職に携わる年代は、40%以上が50代より上の世代が占めています。ドライバーは体力勝負のため離職率も比較的高いという現状があります。
物流業界の人材不足の原因②:ECサイトの発展による需要量の増加
新型コロナウイルスが流行したことによる巣ごもり需要で、最近ではECサイトを利用する人も増えてきました。
しかしそれに対応できるドライバーは先述の通り少なくなってきており、需要と供給が合わず現場が疲弊してしまうケースが多く見られています。
物流業界の人材不足の原因③:労働時間の長さと給与の低さ
日本の配送は非常に迅速に行われており、物流・運輸業界の現場は深夜や早朝まで業務が続くことが多いです。
また急な配送依頼があることも多く、他業界と比べて労働時間が長いという現状があります。また求人サイトの求人ボックスが出した給与データによると、物流管理の仕事の平均年収は約423万円と、他業界に比べて低い傾向にあります。
労働時間が長い×給与が低いということから、人材不足につながっていると言われています。
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物流業界の人材不足の解決法
人材不足が課題になっている物流・運輸業界ですが、企業が取り組むべき解決方法には主に3つが考えられます。
- 自社の人材育成を行う
- 人材採用に注力する
- ツールを導入して業務を効率化する
- 共同配送する
- 働き方の自由度を高める
などが主な解決法です。
物流業界の人材不足の解決方法①:自社の人材育成を行う
1つ目は自社の人材育成です。
初めに取り組むことは自社の人材育成です。
外部から大量に人員を採用した結果、そのほとんどが離職してしまうようだと、教育コストや採用コストはかさむ一方です。
そのため、まずは今いる自社の人材への教育体制を強固にし、加えて労働環境を見直すことで離職率を抑える取り組みが必要です。
物流業界の人材不足の解決方法②:人材採用に注力する
2つ目は人材採用です。
人手が集まらないからと言って採用活動を疎かにしてしまうと、元々いる社員は疲弊し、現場の人手不足は解消できません。
物流・運輸に強い転職エージェントサービスを使用したり、幅広い雇用形態から採用できるようなサービスを導入し、狭く深い人材採用活動を地道に行いましょう。
物流業界の人材不足の解決方法③:ツールを導入して業務を効率化する
3つ目はツール導入による業務効率化です。
自社の労働環境を見直すうえで、物流管理システムなどを導入することで業務効率化が可能になります。
商品の仕入れから配送まで、物流に関する一連の流れに関する情報を管理できるシステムが沢山あり、倉庫管理/輸配送管理/EC物流向け管理などから自社に適切なシステム導入を検討しましょう。
物流業界の人材不足の解決方法④:共同配送する
4つ目は共同配送することです。
今の状態ではドライバーが圧倒的に不足しているので、トラック1台あたりの積載量を上げるのは非常に効果的な方法です。
また、配送する際には同じ地域に向かうトラックにまとめて荷物を載せるなどの対応も人材不足解決の1つの手法です。
物流業界の人材不足の解決方法⑤:働き方の自由度を高める
5つ目は働き方の自由度を高めることです。
働きたくても時間が合わずに諦めてしまう人は多く、大きな問題になっています。
そこで雇用形態や働く時間の自由度を高めることで、本来採用できなかった人材を獲得するチャンスが訪れます。
まだ業界でも取り入れている企業も少ないため、早めにしておけば他社と差をつけて採用活動を行うことができるでしょう。
人材不足である物流業界の今後について
人材不足が課題である物流・運輸業界ですが、需要量の多さから市場規模は着実に伸びてきている産業です。矢野経済研究所が出したデータでは、2021年度の物流17業種総市場規模は、前年度比107.7%の21兆5,810億円を見込んでおり、2022年の市場規模予測は前年比+4.1%と大幅に拡大すると予想されています。
また2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言し、持続可能な物流の構築に向けた取り組みが一層強化されます。
国土交通省も2019年より「ホワイト物流」推進運動を開始するなど、国全体で物流業界の発展は重要なトピックスにもなっています。
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まとめ:物流業界の人材不足の原因と解決方法
物流業界の特徴や、人材不足の原因とその解決方法について解説しました。
日本の購買市場を支える物流業界は今後も長く発展していきますし、人々の生活に利便性をもたらせてくれる注目業界です。業界への就職を検討されている方はぜひ本記事を参考にし、就職活動に役立ててくれればと思います。
また物流業界の採用担当者の方々は、後半で紹介した人材不足の解決方法を参考にしてみてください。