企業において度々行われる「人材配置」は、人事配置、人員配置ともいわれることがありますが、企業内の人材の配置を決め、活性化するという目的は共通しています。
人材配置にはどんな種類があるのか?そもそもどんなメリットがあるのか?
本記事ではそれぞれについて解説していきます。社内の人事担当の方や、人材戦略担当の方はぜひ参考にしてみてください。
人材配置とは?主な種類について
人材配置とは、組織に必要な人材を適切な部署やチームに配置することです。
配置する際は、各人材が持つスキルや経験、適性、能力などを総合的に見極めて配属します。新規採用や人事異動といったタイミングで実施されることが多いことが特徴です。
適材適所の人材配置は、生産性の向上・離職率の低下といったメリットがあり、企業規模の大中問わず、定期的に行われています。
また人材配置には、主に5つの種類が挙げられ、
- 人事異動
- 組織体制変更
- 役職変更
- 新規採用
- リストラ、契約解除
などがあります。下記にて説明していきます。
人事異動
人事異動とは、配置や地位、勤務状態を変更することです。当然、人事異動の際は、人員配置が行われます。企業のなかで、最も多く行われる人員配置と考えて良いでしょう。
勤務態度/経験/スキル/知識をもとに人事異動を考慮する必要があり、都度社員・スタッフのスキルや勤務態度を確認しておかなければいけません。
組織体制変更
企業全体を大きく変化させるものとして、組織体制を変更するための人員配置が行われる場合があります。
会社全体の利益や効率性を改善させるために、ベンチャー企業やスタートアップ企業などでよく行われる傾向にあります。当然、組織全体を改革することになるため、大きく失敗するリスクも伴う点に注意しなければなりません。
役職変更
人員配置の種類には昇進などの役職変更もあるでしょう。
経験やスキルを積んで積極性も高い社員の職位を上げたいと考えていませんか。仕事のやりがいをこれまで以上に感じられる点や給与が増加する点は社員にとっても大きなメリットとなるでしょう。
特にリーダーシップを取れる社員や責任感のある社員の場合、昇進させることで社員のモチベーションを向上させることができるかもしれません。
昇進などの役職変更を行う際は社員がプレッシャーを感じすぎないよう企業側がフォローすることを忘れないようにしましょう。
新規採用
新卒・中途問わず、新しく人材を採用することは、企業の発展や経営にも大きく直結します。継続的に高いパフォーマンスを実現してもらうためには、採用した人材の配置も重要になります。
もちろん、特定の職種・部署で採用活動をしていた場合は、その求職者の希望部署への配属を行わないとトラブルにもつながりますが、これまでの経験やスキルを照らし合わせ、最適な部署に配置することも企業経営にとって大事なポイントです。
採用した人の性格や志向性も含めて、既存の従業員とのバランスを考えた配置にする必要があるでしょう。
リストラ、契約解除
企業の業績が悪化したり、事業を縮小することによって、リストラや契約解除、解雇などにより人材配置が行われることもあります。
具体的には、希望退職者を社内で募ったり、パフォーマンスが低いor不正を働く従業員に対し、退職を促すなどの例が挙げられます。また契約社員・派遣社員・アルバイトやパートといった、有期雇用契約で働く人たちは、期間内での契約満了を伝える、雇い止めが行われることもあります。
人材配置の効果
人材配置がもたらす主な効果には、
- 生産性の向上と業務効率化
- 組織全体の活性化
などが挙げられます。下記にて説明していきます。
生産性の向上と業務効率化
人材配置の最適化により、業務を効率良く回せるため生産性の向上が期待できます。
一方、業務と人材のバランスが崩壊する明らかな経験/スキル不足やミスマッチによる配置は、業務の流れを低下させ人間関係の軋轢を引き起こすリスクがあります。
生産性が向上すれば、非効率な作業によるストレス軽減やメンタルヘルス対策としても有効です。
組織全体の活性化
定期的な人材配置を通し、組織の活性化を促すことが可能です。ひとつの事を極めることは重要ですが、どうしても人間は長期間おなじ場所で仕事をすると、マンネリ化にもつながり、モチベーションが安定しない場合も考えられるからです。
仕事のパフォーマンスの低下を招くこともあり、行き過ぎた場合、不正行為を起こしてしまう場合も考えられます。
定期的に人材配置を行うことで、職場の風通しのよさにもつながり、フレッシュな気持ちで仕事に臨むことができます。
人材配置のポイント
人材配置を行う際は、従業員のデータの把握することと、効果検証が重要になります。
以下にて詳しく解説していきます。
- 従業員のデータの把握
- 効果検証
従業員のデータの把握
最適な人員配置を実現するために、まずは現状の人員配置を整理しましょう。
人員配置で必要な従業員データには、過去にどんな経歴を積んだかというキャリアデータ、従業員一人ひとりが具体的にどんな能力を持っているのかというスキルデータといった内容が挙げられます。
効果検証
人材配置を実施した後に重要なのは、効果測定を行うことです。人材配置を通し、部署や会社がどれくらい成長したかを、売上や顧客満足度の分析を通し可視化するようにしていきます。また、効果検証時は成果だけでなく、従業員の納得度や働きやすさも向上したかを分析するようにしましょう。
匿名のアンケートを取ったり、外部のカウンセラーを招いて従業員一人一人に対してヒアリングを行うことを通し、業績だけでなく社内の雰囲気が向上したかを図ることが重要です。
それらを踏まえ、効果が出たと判断できたのであれば次回作にも生かし、効果が出ていない、もしくは悪化しているのであれば早急に施策を検討する必要があります。
人員配置を行う手順
では一体、どのように人員配置を行えば良いのでしょうか。ここではその手順を説明します。
- 課題感や目標の整理
- 社員のスキル・能力を分析
- 社員へのヒアリングと打診
- 配置変更
課題感や目標の整理
まずは現状抱えている課題感を明らかにすることが重要です。またそれと同時に、目標も整理しましょう。行き当たりばったりな対策とならず、長期的な目線で見て効果的な人員配置を行うことが大切です。
課題感の例としては、以下が挙げられます。
- 離職率の低下につなげたい
- 新しい部署を作って人員を集めたい
- 将来的にリーダー像となる人材を育成したい
あなたの会社の課題と目標は何でしょうか?
社員のスキル・能力を分析
次は、今回の人員配置に適切な人材をピックアップするために、社員のスキルや能力を分析します。社員とよくコミュニケーションを取る会社であれば、社員の人となりを理解しているかもしれません。ただ、まだ見えないスキルや能力が隠れている可能性もあるため、必要に応じて適性検査等を行ってみることも有効な手立てです。
社員への打診と要望ヒアリング
人員配置を検討している社員に、面談の時間を設けて打診を行います。
その際には、どんな背景があって、どんなことを求めて打診するに至ったのかを丁寧に説明しましょう。期待感を感じてもらえるように、ポジティブな言い回しが大切です。
配置変更
社員との合意が取れたら、配置変更を行います。気を付けておきたいのが、配置した後もしばらくは社員のことを観察しておきましょう。いくらスキルの高い人材でも、いきなり慣れない環境の変化で戸惑う場面もあるかもしれません。できれば定期的にヒアリングする場を設けて、小さな変化を見逃さないように注視しましょう。
- 最近よく耳にする「ジョブローテーション」ってなに?
-
ジョブローテーションとは、ある一定の期間を設けて限定的に社員を配置することです。仮に適切ではないと分かった場合も、社員のスキル把握に役立ちます。期間が限定されていますが、業務内容はもちろん他の従業員との相性なども確認できます。
人材配置のメリット
最後に、人材配置を行った際に起こるメリットを解説します。
- 人材の有効活用が可能
- 従業員の成長が期待できる
メリット①:人材の有効活用が可能
最適な人員配置ができると、適切な人員数で業務を行えます。必要以上に従業員を新規採用したり、無理やり他部署から人員を異動させたりする必要はありません。
たとえば、これまで5人で担当していた業務が3人で成り立つと分かった場合、2人分の人件費を削減できます。また2人の人員をほかに不足している部署へ分散させれば、企業全体としての収益性を改善できるでしょう。
メリット②:従業員の成長が期待できる
人事異動は、部署の業績(業務内容と人件費の調整)、昇進・昇格、欠員補充、人材育成などを目的として行います。
定期的な人事異動は、従業員のスキルアップを目的として行う場合が多く、さまざまな業務や人間関係、勤務環境を経験することで社員としての成長を促すことができます。
人材配置のデメリット
次に人材配置を行った際のデメリットについて解説します。
- 時間コストがかかる
- 一時的に従業員のモチベーションが低下する恐れがある
デメリット①:時間コストがかかる
人材配置には時間がかかることも理解する必要があります。実施時には人事担当だけでなく、企業の経営陣や管理職も含めて話し合い、企業目標や取り組みの方向性を決定することになります。
人事異動の完成度は組織の活性化を左右するポイントなので、その他、効果検証や人材の分類、分析にも時間がかかると考えられます。
デメリット②:一時的に従業員のモチベーションが低下する恐れがある
デメリットとして考えられるのは、頻繁な実施によって社員のモチベーションが低下する恐れがあるという点です。
これまでの経験や能力を活かせる人員配置であれば、新たな環境は社員にとって成長の機会となり得ます。
しかし、人員配置の内容によっては、社員が別の部署や職場へ移るような大きな異動を伴うケースもあるでしょう。
これまでの業務とは全く異なる業務を担う場合、社員にとっては一から学習し経験を積む必要があります。
このような異動が頻繁に行われては社員に十分な能力が養われず、成長には適さない環境であることが伺えるでしょう。
まとめ:人材配置を行う際は慎重に!
この記事では人材配置について、目的やポイント、メリットデメリットを解説しました。
人材配置を行う際は、既存社員・新規社員のバランスを考えながら行う必要があり、社内人材配置と並行しつつ採用活動を行うことはかなりの労力がかかります。
しかし、企業側にとっても再雇用制度はメリットがあるものです。
とはいえ、再雇用制度を行ったとしても人材不足は解消されない、さらに人材が必要と悩んでいる企業も多いでしょう。