勤怠管理の方法5種類と選び方|法律要件・管理項目・主要システム10社比較まで完全解説
「勤怠管理を効率化したい」「働き方改革関連法に対応した勤怠管理にしたい」「勤怠管理システムが多すぎて選べない」——人事・労務担当者から最も多い相談の一つです。2019年4月施行の働き方改革関連法により、企業には労働時間の客観的な把握義務が法的に課せられ、自己申告制やタイムカードのみでの管理が事実上難しくなりました。
勤怠管理を怠ると、労働基準監督署からの是正指導、未払い残業代請求、社員の健康被害、組織の信頼喪失といった重大なリスクに直面します。一方で、適切なシステムと運用を導入すれば、給与計算工数の60%削減、労務トラブルゼロといった効果も実現可能です。
この記事では、採用支援10年以上の後藤陽介が、勤怠管理の法的要件・管理すべき10項目・5つの管理方法・主要システム10社の比較・選び方の5ステップを、実務目線で解説します。
この記事でわかること
- 勤怠管理の法的要件(労働基準法・労働安全衛生法)と罰則
- 勤怠管理で押さえるべき10項目
- 5つの管理方法(タイムカード/エクセル/クラウド/生体認証/位置情報)の比較
- 主要勤怠管理システム10社の比較表
- 失敗しないシステム選定の5ステップ
- 導入後の運用と従業員教育のコツ
勤怠管理とは?|働き方改革で重要性が急上昇
勤怠管理とは、従業員の出勤・退勤・休憩・休暇・残業時間などの労働時間を正確に記録・管理する活動です。給与計算の基礎データとなるだけでなく、労働基準法で定められた義務であり、長時間労働の防止・労務トラブル回避・健康管理にも直結します。
働き方改革関連法による「客観的把握義務」
2019年4月施行の働き方改革関連法により、労働安全衛生法第66条の8の3で、すべての事業主に従業員の労働時間を客観的な方法で把握する義務が課せられました。具体的には以下のいずれかが求められます。
- タイムカード・ICカード・パソコンの使用記録による打刻
- 使用者(管理者)による現認
- やむを得ず自己申告による場合は、実態調査と乖離がないかの定期確認
違反した場合、企業名公表・是正勧告・未払い残業代の遡及支払いリスクが発生します。
勤怠管理の3つの目的
目的①:給与計算を正確に行う
勤怠データは給与計算の基礎データです。出勤日数・労働時間・残業時間・深夜労働・休日労働の集計結果が直接給与に反映されます。データに誤りがあれば、過払い・未払い・社会保険料の計算ミスにつながります。
目的②:長時間労働を防止し、社員の健康を守る
過労死ライン(月80時間の時間外労働)を超える社員を早期発見し、業務分散や面談を実施するために勤怠データはリアルタイムで把握する必要があります。2020年4月からは中小企業にも時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間)が適用されています。
目的③:会社と従業員のトラブル回避
未払い残業代の請求・労災認定・解雇紛争などの労務トラブルが発生した際、勤怠データが企業側の唯一の客観的証拠になります。データの記録不備は企業側の不利になります。
勤怠管理で押さえるべき10項目
| 項目 | 記録内容 | 法的根拠 |
|---|---|---|
| 1. 始業時刻 | 出勤時の打刻時刻 | 労働安全衛生法 |
| 2. 終業時刻 | 退勤時の打刻時刻 | 労働安全衛生法 |
| 3. 休憩時間 | 取得時刻と長さ | 労働基準法第34条 |
| 4. 実労働時間 | 始業〜終業-休憩 | 労働基準法 |
| 5. 残業時間(時間外) | 法定労働時間(8h/日)超過分 | 労働基準法第32条 |
| 6. 深夜労働時間 | 22:00〜翌5:00の労働 | 労働基準法第37条 |
| 7. 休日労働時間 | 法定休日に行った労働 | 労働基準法第35条 |
| 8. 遅刻・早退 | 時刻と理由 | 就業規則 |
| 9. 有給休暇取得日数 | 年次有給休暇の取得状況 | 労働基準法第39条 |
| 10. 振替休日・代休 | 取得日と対象労働日 | 就業規則 |
これらの記録を3年間保存することが労働基準法第109条で義務付けられています。賃金請求権の時効が2020年改正で5年(経過措置で当面3年)に延長されたため、保存期間も5年への延長が検討されています。
勤怠管理の5つの方法と比較
方法①:タイムカード(打刻機械)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 打刻機 2〜10万円+カード代 |
| 月額費用 | カード補充 1,000〜3,000円 |
| メリット | シンプル・直感的、IT知識不要 |
| デメリット | 集計が手作業、不正打刻リスク、リモート不可 |
| 向いている企業 | 従業員10名以下・固定オフィス勤務 |
方法②:エクセル(スプレッドシート)管理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 0円(既存ソフト活用) |
| 月額費用 | 0円 |
| メリット | 無料・カスタマイズ自由 |
| デメリット | 自己申告制で客観性なし、改ざん可能、集計工数大 |
| 向いている企業 | 従業員5名以下・在宅勤務中心 |
注意:エクセル管理は「自己申告制」に該当するため、働き方改革関連法の「客観的把握義務」を単独では満たしません。実態調査の併用が必須です。
方法③:クラウド勤怠管理システム(最も普及)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 0〜10万円(無料プランあり) |
| 月額費用 | 1人あたり200〜400円 |
| メリット | 客観的把握、リアルタイム集計、給与ソフト連携 |
| デメリット | 導入時の設定工数、ネット環境依存 |
| 向いている企業 | 従業員10名以上・複数拠点・リモート併用 |
方法④:生体認証(指紋・顔認証)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 認証機20〜50万円 |
| 月額費用 | クラウドシステム連携で月額1人300〜500円 |
| メリット | 不正打刻完全防止、なりすまし不可 |
| デメリット | 初期費用高、プライバシー配慮必須 |
| 向いている企業 | 製造業・工場・セキュリティ重視業界 |
方法⑤:GPS・位置情報打刻(外勤・建設・営業向け)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 0〜5万円(スマホアプリ活用) |
| 月額費用 | 1人あたり300〜600円 |
| メリット | 外勤の客観打刻、現場直行直帰OK |
| デメリット | 従業員のプライバシー配慮、GPS精度 |
| 向いている企業 | 建設・営業・訪問介護・配送業 |
主要勤怠管理システム10社の比較
| サービス名 | 運営会社 | 月額(1人) | 主な強み |
|---|---|---|---|
| KING OF TIME | ヒューマンテクノロジーズ | 300円 | 業界シェア1位、機能豊富 |
| ジョブカン勤怠管理 | DONUTS | 200〜500円 | 無料プランあり、UIシンプル |
| マネーフォワード クラウド勤怠 | マネーフォワード | 300〜500円 | 給与・会計連携が強力 |
| freee人事労務 | freee | 300〜800円 | 給与計算と一体型 |
| TeamSpirit | チームスピリット | 600円 | 工数管理・経費精算統合 |
| ジンジャー勤怠 | jinjer | 400円 | 人事DB連携、HR Tech統合 |
| HRMOS勤怠 by IEYASU | ビズリーチ | 無料〜400円 | 無料プランの機能が充実 |
| レコル | 中央システム | 100円 | 業界最安、最低限機能 |
| e-就業OasiS | NTTテクノクロス | 要見積 | 大企業向け、複雑シフト対応 |
| Touch On Time | デジジャパン | 300円 | シェア上位、生体認証対応 |
シェア上位のKING OF TIME・ジョブカン・Touch On Timeの3社が、累計導入企業数・機能の豊富さで安心して選びやすい選択肢です。
勤怠管理システム選定の5ステップ
ステップ1:自社の勤務形態を整理する
固定勤務・シフト制・フレックス・裁量労働・変形労働時間制など、自社の全勤務形態をリスト化します。複雑なシフト・短期間の変更が多い企業ほど、対応できるシステムが限られます。
ステップ2:必須機能と「あったら良い機能」を分ける
| 機能カテゴリ | 必須機能の例 | あったら良い機能の例 |
|---|---|---|
| 打刻 | PC打刻、スマホ打刻、ICカード打刻 | 顔認証、GPS打刻、Slack打刻 |
| 集計 | 残業集計、有休管理、月次レポート | 36協定アラート、過労死ライン警告 |
| 連携 | 給与ソフト連携、CSV出力 | SAP連携、人事DBリアルタイム連携 |
| 運用 | 承認ワークフロー、申請メール通知 | 多言語対応、AIシフト最適化 |
ステップ3:3社以上を無料トライアルで比較
多くのクラウド型勤怠管理システムは1〜2ヶ月の無料トライアルを提供しています。実際の業務フローで操作感・打刻のしやすさ・管理画面の見やすさを比較するのが選定の決め手になります。
ステップ4:給与計算ソフトとの連携を必ず確認
勤怠データはそのまま給与計算に流れるのが理想です。マネーフォワード給与・freee・弥生給与・ジョブカン給与など、自社の給与システムと自動連携できるか確認します。CSV出力+手動取り込みでは月次工数が膨らみます。
ステップ5:導入支援とサポート体制を確認
初期設定・就業規則のシステム反映・従業員教育まで支援してくれる事業者を選びましょう。「契約後はメールサポートのみ」は要注意です。電話サポート・チャットサポート・現地訪問支援の有無を確認してください。
勤怠管理システム導入後の運用と教育
導入時の従業員教育
システム移行の最大の障壁は従業員の打刻忘れ・操作不慣れです。導入時は以下のステップで定着を図ります。
- 導入1ヶ月前:全社向けの説明会+操作マニュアル配布
- 導入1週間前:部門別の操作研修(30分×2回)
- 導入初週:朝礼で打刻リマインド・各部門に「打刻アンバサダー」配置
- 導入1ヶ月後:操作アンケート+運用改善
毎月の管理業務サイクル
| 時期 | 主な業務 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 毎日 | 打刻漏れチェック、申請承認 | 5〜15分 |
| 毎週金曜 | 残業集計・36協定上限近接者の警告 | 30分 |
| 月末3日前 | 月次集計・給与ソフトへの転送 | 1〜2時間 |
| 月初 | 前月レポート作成・労務責任者への報告 | 1時間 |
勤怠管理を導入しない場合のリスク
労働基準監督署からの是正勧告・指導
労基署の調査で勤怠記録不備が発覚した場合、是正勧告書が出され、改善されなければ企業名公表・送検対象となります。是正勧告は2023年に全国で約24,000件発出されており、対象企業の業務に大きな支障をきたします。
未払い残業代の遡及請求リスク
労働基準法改正で賃金請求権の時効が3年(最終的に5年)に延長されました。記録不備で「労働時間がわからない」状態の企業は、社員側の主張する労働時間を否定できず、数百万円〜数千万円の遡及支払いになるケースもあります。
労災・過労死事故時の責任追及
労働時間を客観的に把握していなかった企業は、過労死・うつ病発症時の労災認定で「使用者責任」を問われやすく、損害賠償請求のリスクも高まります。
よくある質問(FAQ)
- Q. エクセルでの勤怠管理は法律違反ですか?
- A. エクセル管理だけでは「客観的把握義務」を満たしません。ただしエクセルと併せて、PCログオン記録などの客観データで実態確認をしていれば違反にはなりません。長期的にはクラウド型システムへの移行を強く推奨します。
- Q. 勤怠管理システムの導入費用相場は?
- A. クラウド型なら初期費用0〜10万円、月額1人200〜500円が相場です。50名規模なら月額1.5万〜2.5万円。給与計算ソフト連携を含めても10万円/月以下に収まるケースが大半です。
- Q. 残業時間の上限は何時間ですか?
- A. 労働基準法では原則月45時間・年360時間。特別条項付き36協定でも年720時間が上限。1ヶ月100時間未満(休日労働含む)かつ複数月平均80時間以下が絶対的な上限です。違反は罰則対象(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)。
- Q. 有給休暇の年5日取得義務とは?
- A. 2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、企業は年5日以上の有休取得を確実に行わせる義務があります。違反は1人につき30万円以下の罰金。
- Q. リモートワーク社員の勤怠管理はどうすればいいですか?
- A. PC打刻アプリ・Slack/Teams打刻Bot・PCログオン記録を組み合わせるのが標準です。多くのクラウド勤怠システムは「在宅勤務」モードを備えており、開始・休憩・終了をスマホからワンタップで打刻できます。
- Q. 勤怠管理システムを変更する際の注意点は?
- A. 過去データの移行可否、給与ソフト連携の再設定、従業員への再教育の3点が要注意です。年度末・期末を避け、繁忙期前に2〜3ヶ月の並行運用期間を確保するのが安全です。
- Q. 中小企業でも勤怠管理システムは必要ですか?
- A. 必要です。2020年4月から中小企業にも時間外労働の上限規制が適用されており、客観的把握義務は規模を問わず全企業に課せられています。月額1万円以下から始められるシステムも多数あるため、規模を理由に先送りにすべきではありません。
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まとめ:勤怠管理は「客観性」と「リアルタイム性」を満たすシステム選びが成功の鍵
勤怠管理は単なる給与計算の前処理ではなく、社員の健康・労務トラブル回避・組織信頼性に直結する経営課題です。働き方改革関連法・36協定の上限規制・有給5日取得義務など、法令遵守要件は年々強化されています。
- 勤怠管理は労働安全衛生法・労働基準法で客観的把握が義務
- 10項目(始業・終業・休憩・残業・深夜・休日・遅刻・有休・振休・代休)を3年間保存
- 5つの管理方法(タイムカード/エクセル/クラウド/生体認証/GPS)から自社に合うものを選ぶ
- クラウド型は月額1人200〜500円で導入可能。KING OF TIME・ジョブカン・Touch On Timeが安心の3社
- 選定は「勤務形態整理→必須機能洗い出し→3社トライアル→給与連携確認→サポート確認」の5ステップ
- 導入後の従業員教育と毎月の運用サイクル設計が成功の鍵
勤怠管理を見直すことは、組織の透明性と社員の働きやすさを同時に向上させる取り組みです。コストではなく投資として、自社にフィットしたシステムを丁寧に選んでください。
勤怠管理の方法5種類と選び方を検討する前に確認したい実務ポイント
勤怠管理の方法5種類と選び方とは、採用・人事労務の目的に対して、対象者、費用、運用方法、法令面の注意点を整理しながら進めるための判断テーマです。
勤怠管理の方法5種類と選び方を判断する時は、サービス名や制度名だけでなく、採用目的、対象職種、運用担当、費用対効果、応募者対応までまとめて確認することが重要です。
筆者は採用支援・人事労務領域の記事を複数年にわたり調査し、求人媒体、採用管理システム、人事制度、労務管理の比較情報を整理してきました。筆者の確認では、実際に成果が出る企業ほど「導入前の目的」と「導入後の運用」を分けています。現場で見落とされやすい論点も、経験上、先に表で確認しておくと判断しやすくなります。
| 確認項目 | 見るべきポイント | 見落とすと起きやすいこと |
|---|---|---|
| 目的 | 応募数、質、定着率、工数削減のどれを優先するか | 施策の成功基準が曖昧になる |
| 対象 | 新卒、中途、アルバイト、派遣など対象者を分ける | 求人文や選考フローが合わなくなる |
| 費用 | 初期費用、月額費用、成果報酬、運用工数を確認する | 採用単価を正しく比較できない |
| 運用 | 誰が更新し、誰が応募者対応するかを決める | 掲載後に放置され、成果が落ちる |
| 法令 | 労働条件、個人情報、公正採用の観点を確認する | 求人票や選考対応でトラブルになる |
採用・人事労務の判断では、次の公的情報も確認しておくと安全です。
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勤怠管理の方法5種類と選び方に関するよくある質問
Q. 勤怠管理の方法5種類と選び方は最初に何を確認すべきですか?
目的、対象者、費用、運用担当、法令や個人情報の確認事項を先に整理してください。条件が曖昧なまま進めると、採用効果や社内運用でズレが出やすくなります。
Q. 勤怠管理の方法5種類と選び方で失敗しやすいポイントは何ですか?
導入目的を決めずにツールや制度だけを選ぶこと、応募者対応の担当を決めないこと、求人票や選考基準を更新しないことです。
Q. 勤怠管理の方法5種類と選び方の費用対効果はどう見ればよいですか?
応募数だけでなく、有効応募率、面接設定率、採用単価、入社後の定着率まで見て判断します。短期の反応と中長期の改善を分けて確認しましょう。
Q. 勤怠管理の方法5種類と選び方を社内で進める手順は?
現状課題の整理、比較表の作成、担当者の決定、少人数での試験運用、効果測定、本格運用の順で進めると失敗を減らせます。
Q. 勤怠管理の方法5種類と選び方で法令面の注意点はありますか?
募集条件、労働条件、個人情報、採用選考の公平性に注意が必要です。制度や求人票を変更する場合は、厚生労働省などの公的情報も確認してください。
