若手社員の離職はもう止められません。
今、どの企業も若手社員の早期退職が大きな課題になっていますが、未だにその明確な解決策は見つかっていません。
その現状が証明しているのが「若手の離職防止は不可能」ということです。
時代の変化や人の仕事に対する価値観が変わってきたこともあり、その流れを施策で変えることは無理なのかもしれません。
ならば次に打てる手を企業は探さなければいけません。
この記事ではそんな課題を持つ採用担当者や経営者に向けて、離職の原因や対策を解説します。
若手の離職が止まらない3つの原因
では、ここからは若手の離職が止まらない理由を解説します。
離職理由はさまざまだとは思いますが、主に下記の3つが原因のことが多いです。
- 「この仕事は自分には合わない」という勘違い
- 高望みする給料
- 人間関係が悪い
「この仕事は自分には合わない」という勘違い
1つ目は、若手社員が最も多く思うことで「この仕事が自分に合っていない」という勘違いです。
新卒や20代の若手などは1社〜2社ほどしか経験していませんので、自分にどの業種・職種が合っているか分かりません。
ですので、今の仕事が本当に自分に合っていないのかもしれません。
しかし、入社したばかりで自分に合っている・合っていないかなどは分かる訳がありません。
また、そんな短期間で辞めてしまうような人は、どんな業種・職種・環境でも成功することはありません。
こんなことは社会人経験が豊富な方であれば周知の事実ですが、経験が浅い若手社員はこういった間違った価値観を持ち、転職すれば今の状況を解決できるという幻想を抱いて離職してしまうケースが多いです。
高望みする給料
2つ目は給料が低いことへの不満から離職するケースです。
新卒入社や若いうちの転職後は基本的に給料が低いのが一般的です。遊び盛りの20代はそのことに不満を持つ人が多いです。
しかし、普通に考えてみればそれは当然の話です。
新卒や入社したばかりの社員などは会社の戦力になっていませんし、最初は赤字の状態で教育を行っていきます。
そのため、もらえる給料が低いのは当然であり、今後仕事で返していくというのが本来の考え方です。
この間違った考え方から離職に至るケースも多数存在します。
人間関係が悪い
3つ目は人間関係の悪化に伴った離職です。
これを会社で防止することは、ほとんどの場合は不可能です。
なぜなら、人間関係は会社が介入することのできる領域ではなく、個人間での問題であるからです。
いくら会社がコミュニケーションの場を設けたとしても、性格的に合わない人同士を友好関係にすることはできません。
またこのような性格的なズレは、どの会社や職場にも存在します。
この人間関係での離職を会社の力で止めることは非常に難しいです。
止まらない若手の離職防止は不可能
上記で若手の離職理由を解説しましたが、基本的に離職を決めた人を止めることはできませんし、離職理由はいくらでも存在しますので、いくら離職防止の取り組みを行ったところで限界があります。
- 若手の離職は止まらない
- 離職防止策のコストは甚大
- 無能な若手の離職は止めなくいい
若手の離職は止まらない
今後日本はますます人口が減少し、圧倒的な労働力不足が起きます。
求人の数は増え、求職者の人口は減ることから、求職者の待遇はどんどん向上していきます。
労働者の待遇が良くなることは良いことですが、それによって今の自分の会社よりも待遇が良い会社が次々に出てくるので、転職意欲が大きくなってきます。
その結果、離職の数が増えます。
離職防止策のコストは甚大
離職を防ぐ対策はいくつもありますが、そのほとんどがコストが大幅にかかるか、人的工数が多くなることばかりです。
たとえば
- 昇給、ボーナス
- 休日の増加
- 社内イベント
- 離職防止ツールの導入
- オフィス環境の整備
などです。
このような対策を行ったとしても、改善できるか分からないというところが離職防止が難しい原因でもあります。
無能な若手の離職は止めなくいい
離職をする若手社員の中には仕事ができずに会社で浮いてしまい、会社内でのポジションが見つけられずに離職するケースもあります。
その場合は、離職を防止すると会社が新陳代謝ができず、業務の生産性が低くなります。
仕事ができない、自社に合っていないと感じる社員は、逆に離職をしてくれた方が会社の為になるケースもあります。一概に離職の防止を行えば会社が成長するとは考えない方が良いでしょう。
止まらない若手の離職防止よりも良い対策
では、離職防止を行わないのであれば、どういう対策を行うと会社を健全に経営できるのかを解説します。
- 中途採用に注力する
- 派遣社員を利用する
- 業務を効率化する
中途採用に注力する
まずは中途採用に注力しましょう。
離職を止められないのであれば、採用にコストを注ぎ、会社の新陳代謝を活性化することでさらなる成長を図りましょう。
企業が成長するためには人材の確保が必須です。
離職はコントロールができませんが、採用はある程度コントロールが自社で可能です。コストをかけるのであれば、知見や経験も貯まる採用に注力した方が長期的にも良いでしょう。
派遣社員を利用する
2つ目は派遣社員を利用することです。
若手の離職防止が難しく自社での採用も難しい場合は、派遣会社に依頼をして派遣社員を利用すれば、リスクなく業務を遂行できます。
派遣社員にもさまざまな種類があり、専門的な技能を習得している人も多くいます。興味のある方は、一度お近くの派遣会社に問い合わせしてみて下さい。
業務を効率化する
3つ目は業務の効率化を図ることです。
業種・職種によっても違いますが、人材不足の状況は業務のシステム化を図れるチャンスです。
人手不足であり、少ない労働力で沢山の業務をこなそうと思えば、1人ひとりの生産性を向上させるしか方法はありません。
そのため人材を探しつつ業務の効率化を図ることは、会社を長期的に経営していく上で必須となります。
定着率の計算方法とは
まず定着率とは、会社や組織にどれぐらい従業員が定着しているかを表した数値のことですが、この数値が低いと従業員の離職が多く、働きにくい職場環境だと言えます。
つまり、定着率で企業や組織がどれだけ健全な運営状況かを確認できます。
定着率の計算表法は、
(入社数-退社数)÷入社数×100
となります。
定着率と離職率の計算方法の違い
離職率は、定着率と反対の指標です。
つまり、離職率とは入社した従業員のうち離職した人の割合を表す数値です。
離職率の計算方法は、
離職数÷常用労働者数×100
となります。
この離職率と定着率は対義の意味となりますので、必ず離職率+定着率=100%となります。
定着率を上げる方法
定着率の意味が分かったところで、本題の「定着率の上げ方」を解説します。
従業員の離職を避けるには様々な方法がありますが、今回はその中でも即効性があり、どの職種でも実行可能な施策を3つあげます。
- 教育制度を充実させる
- 柔軟な働き方をさせる
- 給与を上げる仕組みを作る
定着率を上げる方法①教育制度を充実させる
まず1つ目は従業員の教育制度を充実させ、成長させることで定着率をあげる方法です。
従業員が会社を辞める理由は、
- 仕事にやりがいを持てない
- 体調不良
- パワハラ、セクハラ
- 給料が低い
- 他にやりたいことができた
- 人間関係が上手くいかない
- 家庭事情etc…
例を出すとキリがありませんが、逆に会社を辞めない理由は大きく分けて4つしかありません。
- 人間関係が良好だから
- 給料が良い
- 仕事にやりがいを感じる
- 成長している感覚がある
これらの中で会社がすぐに対応可能で、コントロールができるのは「成長している感覚がある」だけでしょう。
人間は自分が成長している実感を快感と捉えます。つまり、何かしらの成長している感覚を従業員が感じることができれば、そこに所属していることに居心地の良さを覚え、離れることが少なくなります。
成長するというのは小さなことや、些細なことでも感じることができます。そのきっかけを与えてあげるだけで定着率はグッと上がります。
定着率を上げる方法②柔軟な働き方をさせる
2つ目は従業員の働き方に多様性を持たせることです。
近年は、テレワークやフレックスタイムなどの柔軟な働き方が、特に大手企業ではスタンダードになってきました。
このことから、逆に働き方に柔軟ではない会社が「働きにくい会社」として認識されるようになってしまいました。
働く環境を整えることは企業にとってもプラスになることが多いです。
例えば、従業員の生産性が上がることやブランディングにもなるのですぐに検討しましょう。
定着率を上げる方法③給与を上げる仕組みを作る
3つ目は適切な評価基準の作成です。
従業員はいつも会社に「自分を評価してほしい」と思っています。その承認欲求を満たすことは定着率を上げるうえで重要な問題になってきます。
ですが、人間の承認欲求を満たすことは容易ではありません。人それぞれ価値観や状況が違うからです。
そこで最も分かりやすく、数字で現れる給与という形で評価を下すことが即効性がある施策です。
定着率を上げないでも利益を出す施策
ここまで定着率を上げる施策を紹介しましたが、業態や職種等の状況で施策を行うこと自体が難しい企業も多いでしょう。
ですので、ここからは定着率を上げる方法ではなく、定着率が低くてもしっかりと利益を出し、健全な経営をする方法を紹介します。
- 採用・求人のミスをなくす
- 誰でもすぐに業務を行えるシステム作り
- 派遣社員の利用
採用・求人のミスをなくす
採用や求人の施策のミスは企業に大きなダメージを与えるほど重要で、企業の心臓とも言える業務です。
それはつまり、ここさえ押さえておけば企業の経営状態は健康的に回るということです。
例えば、定着率がどうしても変わらず低い状態でも、採用・求人にかかる費用を抑えることができれば、全体的な損益でいえば改善されます。
さらに採用や求人は仕組みや求人内容の書き方一つで簡単に改善できますので、変化するという心理的ハードルも低いです。
誰でもすぐに業務を行えるシステム作り
上記で採用や求人に注力するという施策が効果的と解説しましたが、それだけでは不十分です。
いくら人材を安く大量に確保したとしても、その人材が上手く昨日できなければ宝の持ち腐れです。どんな人材が入ったとしても一定の業務を遂行できるようなシステムを作ることが大切になってきます。
つまり定着率が低くても、入社してから業務ができるまでの期間が短ければ、その業務の穴を埋めるどころか、さらなる生産性のUPが期待できます。
派遣社員の利用
最後は派遣社員の利用です。
派遣社員を利用する理由は、業務の効率化、採用コストの削減など様々ですが、最も多いのは、人手不足によるビジネスの機会損失を避けることでしょう。
「人がいればできた」「今の業務で手一杯」などの理由から新規の案件を受けられないことは企業にとっては大きな痛手になります。
そこで、派遣会社と契約してプロジェクトごとに人材を利用することができれば、最小コストで最大利益を生むことが可能になります。
つまり派遣社員の利用は、チャンスに備えて自社で人材を雇用せずに無駄なコストを生まない施策ですので、自社の定着率が高くても機会損失をしなくてすみます。
まとめ:止まらない若手の離職防止より採用に注力
ここまで若手の離職防止ができない理由や、その改善策を解説しましたが、最も簡単に離職問題の根本である人手不足を補えるのは「採用」しかありません。
つまり、離職する人は仕方ないので、入れる人を増やそうということです。