人事異動を制度化すると優秀な社員の離職率が低くなる|多い・少ない時のメリット・デメリット

人事異動
なぜ人事異動が多いと優秀な社員の離職率が高まる?

キチンと人事異動の制度の設計・管理を行わないと優秀な社員の離職率は下がる可能性があります。
むやみに人事異動を行わず、事業や施策を考慮して行いましょう。

人事異動は、上手く制度化すると離職率が大幅に低くなります。

なぜなら人が会社という組織に所属する理由は「成長」と「所属」だからです。

短期的に見れば給料や人間関係が大きいかもしれません。
しかし長期的に見ると「自分が成長できているのか?」「自分はこの組織に必要なのか?」が会社に所属する大きな要因になります。

このことを踏まえて言えることは人事制度の重要性です。
この「成長」と「所属」という社員の欲求を満たすことができれば満足度が上がり、離職率が低下します。その結果、今より企業は大きく前進します。

その中でも人事異動という制度は大きな役割を持ちますので、この記事で人事異動を理解して正しく制度を実行しましょう。

目次

会社が人事異動を制度化する理由

株式会社アッテル社の調べでは「2022年度の人事異動の予定」を人事・採用担当者300人に聞いたところ、「ある」と答えた人は60.3%という結果が出ました。
約6割の企業が人事異動を行うという結果になった背景にはどのような思惑があるのでしょうか?

株式会社アッテル(2022年度の人事異動の予定と、人材の最適配置に関する調査)
引用:株式会社アッテル(2022年度の人事異動の予定と、人材の最適配置に関する調査)

優秀な社員を管理職に育てたい

まず1つ目の理由としては「管理職の育成」です。
優秀な管理職というのは、どの企業も喉から手が出るほど欲しい人材です。そのため有名な大手以外は外部から人材を確保することは難しいので自社で育成することが一般的です。

管理職の条件としては「全体を俯瞰して見るスキル」が必須となります。

管理職は1つ1つの業務を点で見るのではなく、業務フロー全体で見れることが重要です。その際に他部署の業務や内情を全く知らないと業務フローを理解することはできません。
つまり、今後の会社の要になって欲しいから人事異動を行うということが1つ目の理由です。

無能な人を配置転換したい

1つ目の理由の逆で、無能で仕事ができない人を部署から配置転換したいという考えから人事異動を行うことがあります。
部署内で戦力になっておらず、どうにかしてその人を別の部署に行かせたい上層部の意向により実行されることがあります。

ですが、これはネガティブな場合だけではなく、ポジティブな面もあります。
個人の向き不向きによって活かせる能力は違いますので、部署を異動することで、その人も能力が発揮されることもありますので、一概に悪い意味とは限りません。

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人事異動を行う目的

人事異動を行う目的と理由

人事異動を行う目的①人材を育成するため

人事異動をした社員は、新しい環境に身を置き他の業務に携わることになります。その結果、新しい見解や技術が身について仕事の幅が広がり、成長が期待できるのです。
また、優秀な社員を教育係として配属させたり、業績を上げたい他部署に異動させたりなど、周囲の底上げを図るといった手法も効果的です。

このような目的での人事異動は、新入社員の育成やベテラン社員の昇進・昇格などを理由に実施するケースが多いです。人事異動を上手く活用することで、社員に成長のきっかけを与えられるでしょう。

人事異動を行う目的②組織を活性化させるため

人材配置が長年固定化すると、人間関係に閉塞感が生じたり、アイディアにも頭打ち感が出てきたりすることがあります。このような場合、組織に新しい風を入れることを目的として、新たな人材を投入することがよく行われています。
新たな人材とは外部だけでなく、内部の社員を別部署から転籍させることも有効な方法です。

デザイナーからディレクター、営業から経営企画、事務から管理部門など、別部署で養ったスキルや経験を他部署に生かすことで、新たな視点を部署内に生む効果も期待できます。

人事異動の宣告は何日前?

人事異動の宣告に期間には決まりはなく、会社によってさまざまです。
一般的には引っ越しを伴う転勤であるならば、1ヶ月以上前に内示があり正式な辞令は、赴任日の2週間前から10日前ぐらいです。

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ジョブローテーションとの違い

人事異動ジョブローテーションをよく同じ意味で認識する人がいますが、厳密に言うと明確な違いがあります。
人事異動というのは「社員の昇格・降格などの会社の活性化のために必要な配置転換」のことであり、ジョブローテーションは「社員の育成のために異動や配置転換」のことです。

つまり、

人事異動 → その社員の役割や権限を変化させるために行う
ジョブローテーション → その社員を育成・成長させたいので行う

という違いです。
企業や組織によっても様々な見解はありますが、大まかな違いはこれで問題ないでしょう。

企業が人事異動を行う理由は?

人事異動を行う理由は、優秀な人材をさらに成長させたいために行うことが多いです。
他部署の業務を一時的に行うことで、企業の経営を全体的に把握することができます。

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人事異動のフローとやり方について

人事異動を行なうメリット、デメリット

人事異動のフロー上には、異動の決定までに打診や面談が多く設定されます。

従業員との間に十分な話し合いの時間をとり、希望や意見を吸い上げながら、現場の要望もふまえて慎重に異動を決定しましょう。人事権があるとはいえども、経営者が異動のすべてをトップダウンで決めようとしないことがトラブル回避の鍵となります。

人事戦略や採用・育成方針に照らし、不足している人材の情報・優秀人材の情報・現場の要望などを収集し、異動の必要性について検討します。

候補者の決定→異動の合意→関係者への内示→異動者へのフォロー

と、正しいフローを踏んで人事異動を行っていきましょう。

人事異動が多いメリット・デメリット

人事異動が多い
メリット
  • 幅広い知識の優秀な社員を育成
  • モチベーションの向上
  • 適切な人員配置
デメリット
  • 優秀な社員の移動
  • 人事の裁量の増加
  • 工数の増加

人事異動が多いメリット

制度 人事異動

ではここからは、人事異動は本当に企業にとってプラスの効果をもたらすのか?を解説していきます。
人事異動が多いことと、少ないことのメリット・デメリットで比較していきます。
まずは多いことのメリットを紹介します。

  • 幅広い知識の優秀な社員を育成
  • モチベーションの向上
  • 適切な人員配置

人事異動が多いメリット①幅広い知識の優秀な社員を育成

人事異動が多い企業の一番のメリットは、幅広い知識の人材を自社で育成できることです。
部署間を頻繁に異動することで1つの知識に偏った人材ではなく、幅広い知識を身につけた優秀な人材を育成することができます。

会社の業務の全体の流れを理解することは外部の人間ではなかなかできませんので、自社で時間をかけて育成するしかありません。
優秀な人材の確保は人事異動が多いことでの大きなメリットの1つです。

人事異動が多いメリット②モチベーションの向上

近年、問題となっている社員のモチベーションの低下を防ぐ効果も人事異動にはあります。

人事異動を制度化することで、今の業務に満足していなくても数年で異動することが決まっているので、モチベーションが下がり続けて結局、退職するという最悪の結果になることを未然に防いでくれます。

人事異動が多いメリット③適切な人員配置

3つ目は、適切な人員配置を行えるという点です。
人事・採用担当者にとって、人員配置は非常に難しい問題です。1人ひとりの適材を見極め、適切な部署へ送ることは人事部の最大の課題です。

その人の希望することが、会社の最大利益になることは難しく、やってみなければ分からないというのが正直な意見です。
ですが細かい人事異動があれば、実験的に業務を行ってもらい、そこから判断ができるので失敗のリスクは最小限に抑えることができます。

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人事異動が多いデメリット

人事異動 多い

次に人事異動が多いことのデメリットを解説します。

  • 優秀な社員の移動
  • 人事の裁量が大きい
  • 工数の増加

人事異動が多いデメリット①優秀な社員の移動

1つ目は優秀な社員を異動させてしまう可能性があることです。
もしその人が将来的にその部署でエースになれるようなポテンシャルを持っていたとしても、それを時期尚早に配置転換してしまう可能性があります。

これは未来の成長や人材への機会損失を起こしていますので、その判断の難しさも人事異動が多いデメリットです。

人事異動が多いデメリット②人事の裁量が増加

2つ目は人事異動を決める人事の裁量や責任が大きすぎることです。
単純に人事の業務的にも精神的にも負担が大きく、他部署との関係が悪くなることも考えられます。

逆に人事の裁量権を持っている人の権力が大きすぎて、会社のパワーバランスが崩れてしまう可能性もあります。

人事異動が多いデメリット③工数の増加

3つ目のデメリットは、人事異動を多く行うことで社員の工数が増え、通常業務がおろそかになってしまう可能性があることです。
人事部の工数はもちろんですが、もっとも負担が大きいのが各部署の育成担当者です。

常に新人社員を抱えながら業務を行うことになり、単純にリソース不足になる危険性があります。

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人事異動が少ないメリット・デメリット

人事異動が少ない
メリット
  • 優秀なスペシャリストを育成
  • 人間関係の再構築が不要
デメリット
  • 向上心がなくなる
  • 業務の全体像が分からない

人事異動が少ないメリット

ここからは逆に人事異動を少なくする、もしくはしないことでのメリット・デメリットを解説します。

  • 優秀なスペシャリストを育成できる
  • 人間関係の再構築が不要

人事異動が少ないメリット①優秀なスペシャリストを育成

1つ目はスペシャリストを育成できることです。

1つの部署に長い間所属することで、自ずとその部門の専門性が高まります。
自社でスペシャリストを育成することで、大きなコストカットが行え、さらに会社内で育成プログラムが確立できるので、育成の再現性も高くなります。

人事異動が少ないメリット②人間関係の再構築が不要

2つ目のメリットは人間関係の再構築が不要なことです。
人事異動のたびに新しく人間関係を構築し、その人と自分が性格的にも仕事の仕方的にも合うのかどうかを考えなければいけないのは負担が大きいです。

その点、人事異動が少ないとその負担がありませんので大きなメリットになります。

人事異動が少ないデメリット

人事異動 少ない

次に人事異動が少ないデメリットについて解説していきます。

  • 向上心がなくなる
  • 業務の全体像が分からなくなる

人事異動が少ないデメリット①向上心がなくなる

1つ目のデメリットとしては、向上心がなくなってしまう危険性があることです。
人は基本的に変化がないと怠けてしまう生き物です。

そういった人には適度に変化を与えないと、現状に満足してしまいます。人材の成長なくして企業の成長はありませんので、常に変化を与えられる人事異動が少ないのはデメリットとなるでしょう。

人事異動が少ないデメリット②業務の全体像が分からい

2つ目のデメリットは、業務全体像のイメージが持ちにくくなることです。

1つの部署に長くいると、どうしても視界が狭くなってしまって仕事の一連の流れを区切って捉えがちになってしまいます。
人事異動は他の部署の内情を知れる良い機会ですが、その経験がなくなることはデメリットになりえるでしょう。

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人事異動の伝え方

人事異動の伝え方

異動の理由と業務内容を明確に伝える

異動の内示を受けた部下は、「なぜ自分なのか?」という疑問を多かれ少なかれ感じています。
特に今までの仕事とは全く違う、畑ちがいの部署や事業部への異動の場合には「なぜ自分なのか?」「自分で大丈夫なのか?」という不安と疑問が大きくなるでしょう。

こうした不安や疑問を解消するためにも、異動の理由を伝えることで、双方が納得するような形を意識しましょう。

従業員側の気持ちを理解し、異動にあたる期待を必ず伝える

異動に伴う環境の変化への不安が、異動を前向きに受け止められない原因の1つなので、異動先の状況がよくわかればそれだけ不安要素がなくなります。

忙しい時期ではありますが、人事異動の内示を部下に伝える前に、異動先の部署の状況を確認しましょう。可能であれば部下の上司となる人に連絡を取り、期待されている役割やミッションを確認できればベストです。

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人事異動で優秀な社員の離職率は下がるのか?

人事異動 離職率

近年、離職率は企業の大きな問題となっています。
そこで「人事異動は離職率に影響を及ぼすのか」を解説します。

新卒の離職率|3年で3割辞めるのは、我慢が足りないせい?
引用:転職Hacks(新卒の離職率|3年で3割辞めるのは、我慢が足りないせい?)

制度の仕組次第で優秀な社員の離職防止になる

結論、人事異動は離職の防止になります。
なぜかというと、離職の理由が

  • 人間関係
  • キャリアチェンジ
  • 職場環境

のいずれかである場合が多いからです。

このいずれも人事異動で解決できる可能性があるからです。

ITMediaビジネス(人事総務に聞いた「従業員の離職理由」)
ITMediaビジネス(人事総務に聞いた「従業員の離職理由」)

属人化した決め方は危険

人事異動で離職率の防止は可能ですが、危険性もあります。
それは異動理由を「属人化」した場合です。

人事異動は社員1人1人の人生を変えることはもちろん、企業の業績を左右する重要な判断です。その際に1人の判断や、定性的な理由で決める制度になることは大変危険なことです。

派閥やお局を作らせない

離職の理由の中で一番多いのは「人間関係」です。
人間関係のもつれは、社員同士のパワーバランスが崩れたときに起きることが多いです。

例えば、会社内で派閥ができてしまったり、お局のような個人に力がついてしまったりするケースはよくあることです。

このような場合も人事異動が多いことで、解決する可能性が高いです。
頻繁に部署内の人間関係が変化するので、個人間の距離感を適切に調整できます。

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人事異動を成功させるためには

人事異動を成功させるためには移動後にも注意しておく必要があります。
異動先で人間関係が悪くなったり、モチベーションが下がったりした場合に、その本人だけではなく部署全体に悪影響を及ぼしかねません。

そのため異動を行う前だけではなく、異動後にも定期的にフォローを行わなければいけません。
そして細かい分析や改善を繰り返しながら、人事異動、社内制度の成功パターンを見つけ出しましょう。

まとめ:優秀な社員の人事異動より採用に注力

ここまで人事異動の解説や、離職率の関係性について紹介しましたが結論、人事異動はメリット・デメリットあるが「工数やリスクが大きく、企業全体への影響が良くも悪くも大きい」です。テストのように少しずつ始めてみるのも良いかもしれません。

離職率については、人事異動のような内部施策よりも、採用などの外部施策に注力することが最善策です。

制度 人事異動 多い少ない

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この記事を書いた人

人材業界|求人サイト運営・運用・管理
広告運用歴4年
ベンチャー企業でプレイングマネージャー
求人アグリゲーションサイトのことからベンチャー企業のあれやこれやも発信します。
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